道徳の系譜、ニーチェ著、木場深定訳、岩波文庫

解説より。 『道徳の系譜』という標題のもとに纏めて公にされた三篇の論文は、ゲーオルク・ブランデスに宛てたニーチェ(1844-1900)自身の書信(一八八八年四月十日付)によると「一八八七年の七月十日から三十日までの間に決意され、執筆され、原稿の整理…

ロック『市民政府論』鵜飼信成訳、岩波文庫

必読書150には入ってないが、ルソーを読むとロックも読みたくなる。ロックを読むとモンテスキューも読みたくなるが、『法の精神』は長いので覚悟がいる。それよりはロックの『市民政府論』は短いので手にとりやすい。 解説からひく。 ジョン・ロック(Joh…

ルソー『社会契約論』桑原武夫・前川貞次郎訳、岩波文庫

中高の教科書にでてきてるくらいの印象しかなかったが、最近東浩紀氏が独自の視点で読み直していたりして一部で話題になっている。読んでみると、古典中の古典とあつかわれるのもよくわかる、近代の理念や原理をコンパクトに、表現としても美文というわけで…

好きなPV・ライブ動画・MAD

youtubeやニコニコ動画でいろいろなポップ・ミュージックにふれられるようになり、これは好きだと思えるものがいくらか見つかった。それらを挙げてみる。 1 ANARCHY「FATE」 日本の近年のPVではずばぬけてこれだと思う。アナーキーという京都…

ガープス現代社会リプレイ『高校生活の小さな奇蹟』1話「料理研究会の憂鬱」

これは実際におこなったゲームのセッションの録音を文字起こしし、プレイヤーの人にその時内心どう思っていたかなどを書き加えてもらって、その上でもう一度編集するというかたちで書かれています。記法は以下の通り。カッコのあるなしやカッコの形によって…

プレイヤーとしての理想のプレイスタイルについて

22日にTRPGセッションがあり、自分も参加させていただけることになっている。しかしスランプだ。 そこで自分のTRPGについてのフォーカスをあわせなおすべくガープス現代社会というオリジナルルール(といえる代物ではないが)でやったセッションの…

忌野清志郎

死去。

ウィキペディアで調べてみたいガープスに出てきた用語

基本概念自然/世界/社会/共同体/国家/軍事/コミュニケーション/文明/文化/暴力/宗教/政治/法/経済体力 2 歩けない 3 三歳 4 四歳 5 六歳 6 八歳 7 十歳 8 十三歳 10 標準 12 運動好き 14 運動 16 重量上げ選手 18 筋肉マン 2…

『汎用RPGルールブック ガープス・ベーシック 第三版』スティーブ・ジャクソン、佐脇洋平とグループSNE編訳、角川スニーカー文庫

ガープスとはスティーブ・ジャクソン社から出ているTRPGのルールブックだ。 ガープス(GURPS)とは、包括的で汎用的なロールプレイング・システム(Generic Universal Role Playing System)の頭文字をつなげたものです。ガープスの基本システムは…

TRPGについての対話

先日http://kanata-a.hp.infoseek.co.jp/のかなたさんと、ただTRPG(会話で架空世界のキャラクターとなって遊ぶゲーム。テーブルトークロールプレイングゲームの略)とりプレイ(TRPGを遊んだ様子をト書きのシナリオのような形で再現した読み物)に…

スピノザ『エチカ 倫理学』畠中尚志訳、岩波文庫

スピノザははまる。読んだあと本文をある程度パソコンに打ち込むのだが、けっこうな量をうちこんでしまった。よくわからないところも多いし叙述形態もけっして得意なものではないのだが、そういう人はけっこういそうな気がする。 バールーフ・デ・スピノザ(…

パスカル『パンセ』前田陽一、由木康訳

パスカルはモンテーニュを半年かけて通読していたせいかさくっと読めた。キリスト教の聖書などのこみいった話が中心となる後半はほとんどよくわからなかったが。 ブレーズ・パスカルは、一六二三年、フランス中部山岳地帯の都市クレルモンに生れた。しかし晩…

モンテーニュ『随想録<エセー>』松浪信三郎訳

今度は文庫本6冊分である。去年はこれとホッブス『リヴァイアサン』でおわってしまった。 ミシェル・ド・モンテーニュは一五三三年二月二十八日、父ピエール・エイクェムと、母アントワネットとのあいだの第三子として、エイクェム家の貴族領モンテーニュの…

ホッブス『リヴァイアサン』、水田洋訳

読むのに半年かかった。文庫本四巻はたしかにボリュームがあるが、もちろんこつこつ読んで半年ではなく、30ページ読んでは一週間放り出し・・・という感じでおおいにさぼりまくりながら何とか読みきりはした。例によって注釈は全飛ばしである。ホッブスのプロ…

人文的な知とその他者−佐藤優『国家の罠』を入口に

レポーター shfboo0.はじめに−自己紹介と今回のねらい 文学研究会のみなさま、知ってる人・はじめての人・入部するかどうか様子を見てる方など、今回若干のレクチャーをさせていただきますshfbooと申します。それなりにまっとうにかつ香ばしく(笑)やらせて…

デカルト『方法序説』谷川多佳子訳

古典中の古典といってもいいだろう。はじめて学校などで哲学の話をされるときなど第一にあがっていた名前ではないだろうか。 例によって怠惰にまったく読まないできたのだが、今回読んで驚いた。『必読書150』の順番通り読むと、意外と神学的なもの(『告…

トマス・モア『ユートピア』平井正穂訳

不倫が、死刑。それがユートピアらしい。すごい。どこにもないという意味をもつ「ユートピア」という語に架空の理想郷を描いたといわれるこの書は、よくいわれるように確かに共産主義的社会を想像させるし、当時の時代性とも考えあわせると非常に面白い現在…

マキアヴェッリ『君主論』河島英昭訳

短かった。例によって本文の倍以上の注がついていたような気がするがガン無視した。力量的に無理だ。その特異性によって古典の中でも不気味な輝きを保持している本書は、しかし通読するとおどろくほど腑に落ちるまっとうな、しかも―こういうのは語弊がありそ…

ハンス・アビング『金と芸術 なぜアーティストは貧乏なのか』山本和弘訳

柄谷行人の書評(http://book.asahi.com/review/TKY200702270223.html)などで興味をひかれ読んだ。岡田暁生『西洋音楽史』もそうだったが、目から鱗の指摘を読み進みながら同時に以前から直観はしていたがううまく言葉にできず居心地のわるさを感じていた問…

レオナルド・ダ・ヴィンチ『レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯』杉浦明平訳

岩波文庫で上下巻あり、上が人生論、文学、絵画論、下が科学についてや書簡などをおさめている。 上巻はともかく、下巻の300頁ほどを占める科学についてのところはほとんど読めなかった。頁をめくって見るだけという感じで、もう少し理科を勉強しておけば…

荻上チキ『ウェブ炎上』

著者からいただいた。あとがきにも謝辞をもらい、最近はそれに足るようなこともしてなくて申し訳ないかぎり。せめて真面目に書評をしてみる。 著者はこの本の狙いを以下の三点だという。 「インターネットのある世界」は、技術や慣習、価値観、ことば、思想…

ウラジーミル・プロップ『昔話の形態学』北岡誠司・福田美智代訳

魔法昔話がすべて限られたプロットによって構成されていることを明らかにした古典である。今回時間がなくてちゃんと読めなかったためメモとして書く。 著者は昔話や物語を研究する際にまず「昔話」とは何かを把握しないで個別研究にむかうのは不毛だという。…

浅沼圭司『ゼロからの美学』

大学の時の先生で、凄い先生だという評判も聞いていた。しかし授業はとらず卒業してしまい、今ごろふとこの本を見つけ読んでみた。 学部生向けの美学の入門的な授業をもとに書かれたもので、とても平易に美学について解説されている。美学については特に音楽…

聖アウグスティヌス『告白』服部英次郎訳、岩波文庫

上下巻である。どちらも300ページ位ある。そして情けないことだが、アウグスティヌスについてほとんど知らなかった。表紙に「ローマ時代末期の最大の神学者・思想家アウグスティヌス」とあるので神学者なのかと思ったしだいである。 しかし読み終わってみ…

プラトン『饗宴』久保勉訳

正直つかみどころがないというのが最初の印象だった。なので訳者の序説を引き写しつつ検討してみた。 まず第一に、この対話篇―これがプラトンの真作であることについては誰も疑いを抱いた者はない―が書かれた年代については、本篇中の一個所(193a)から推定し…

アリストテレース『詩学』(松本仁助・岡道男訳)

要するに、『必読書150』(柄谷行人など『批評空間』という雑誌で活躍した批評家達や、彼らが在籍していた近畿大学の文学部の同僚である文学者・造形作家などが集まって作った主に人文科学・文学のブックリスト)である。人文科学書50の最初が『饗宴』…

岡田暁生『西洋音楽史』

宮崎哲哉や稲葉振一郎など人文学的な論者からの高い評価が目立っていた本で、中公新書ということで手軽ということもあって読んでみた。 至高である(感化されやすすぎな馬鹿であるともいう)。 著者は西洋音楽史を書くにあたっての基本方針を以下のように述…

いじめと現代社会BLOG開設

最近社会学者の内藤朝雄氏が双風舎から『いじめと現代社会』という本を出した。それにともなって成城トランスカレッジのchiki氏が「いじめと現代社会BLOG」というキャンペーンブログをはじめた。内藤朝雄氏は素晴らしい学者として私も尊敬しており、その著書…

仲正昌樹『松本清張の現実(リアル)と虚構(フィクション) あなたは清張の意図にどこまで気づいているか』

久しぶりに文学の研究書を読んだ。研究書とは言っても一般の読書人が楽しんで読める啓蒙的な本でもある。またビジネス社からの出版で定価952円は安い。お買い得であると思う。 思想史においてオーソドックス(変な奇をてらわない)かつ本格的な(最も重要…

『時をかける少女』を見て

私信でちらっと『時をかける少女』見た感想を書いた。一応アップ。見てない方には意味がわからない説明不足なものだが、主人公の女の子が火をだしかけた家庭科の授業での失敗を避けるべく、時をさかのぼって高瀬君という男の子に自分のポジションを代わって…