必読書150

ルソー『社会契約論』桑原武夫・前川貞次郎訳、岩波文庫

中高の教科書にでてきてるくらいの印象しかなかったが、最近東浩紀氏が独自の視点で読み直していたりして一部で話題になっている。読んでみると、古典中の古典とあつかわれるのもよくわかる、近代の理念や原理をコンパクトに、表現としても美文というわけで…

スピノザ『エチカ 倫理学』畠中尚志訳、岩波文庫

スピノザははまる。読んだあと本文をある程度パソコンに打ち込むのだが、けっこうな量をうちこんでしまった。よくわからないところも多いし叙述形態もけっして得意なものではないのだが、そういう人はけっこういそうな気がする。 バールーフ・デ・スピノザ(…

パスカル『パンセ』前田陽一、由木康訳

パスカルはモンテーニュを半年かけて通読していたせいかさくっと読めた。キリスト教の聖書などのこみいった話が中心となる後半はほとんどよくわからなかったが。 ブレーズ・パスカルは、一六二三年、フランス中部山岳地帯の都市クレルモンに生れた。しかし晩…

デカルト『方法序説』谷川多佳子訳

古典中の古典といってもいいだろう。はじめて学校などで哲学の話をされるときなど第一にあがっていた名前ではないだろうか。 例によって怠惰にまったく読まないできたのだが、今回読んで驚いた。『必読書150』の順番通り読むと、意外と神学的なもの(『告…

トマス・モア『ユートピア』平井正穂訳

不倫が、死刑。それがユートピアらしい。すごい。どこにもないという意味をもつ「ユートピア」という語に架空の理想郷を描いたといわれるこの書は、よくいわれるように確かに共産主義的社会を想像させるし、当時の時代性とも考えあわせると非常に面白い現在…

マキアヴェッリ『君主論』河島英昭訳

短かった。例によって本文の倍以上の注がついていたような気がするがガン無視した。力量的に無理だ。その特異性によって古典の中でも不気味な輝きを保持している本書は、しかし通読するとおどろくほど腑に落ちるまっとうな、しかも―こういうのは語弊がありそ…

レオナルド・ダ・ヴィンチ『レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯』杉浦明平訳

岩波文庫で上下巻あり、上が人生論、文学、絵画論、下が科学についてや書簡などをおさめている。 上巻はともかく、下巻の300頁ほどを占める科学についてのところはほとんど読めなかった。頁をめくって見るだけという感じで、もう少し理科を勉強しておけば…

聖アウグスティヌス『告白』服部英次郎訳、岩波文庫

上下巻である。どちらも300ページ位ある。そして情けないことだが、アウグスティヌスについてほとんど知らなかった。表紙に「ローマ時代末期の最大の神学者・思想家アウグスティヌス」とあるので神学者なのかと思ったしだいである。 しかし読み終わってみ…

プラトン『饗宴』久保勉訳

正直つかみどころがないというのが最初の印象だった。なので訳者の序説を引き写しつつ検討してみた。 まず第一に、この対話篇―これがプラトンの真作であることについては誰も疑いを抱いた者はない―が書かれた年代については、本篇中の一個所(193a)から推定し…

アリストテレース『詩学』(松本仁助・岡道男訳)

要するに、『必読書150』(柄谷行人など『批評空間』という雑誌で活躍した批評家達や、彼らが在籍していた近畿大学の文学部の同僚である文学者・造形作家などが集まって作った主に人文科学・文学のブックリスト)である。人文科学書50の最初が『饗宴』…