道徳の系譜、ニーチェ著、木場深定訳、岩波文庫


解説より。

道徳の系譜』という標題のもとに纏めて公にされた三篇の論文は、ゲーオルク・ブランデスに宛てたニーチェ(1844-1900)自身の書信(一八八八年四月十日付)によると「一八八七年の七月十日から三十日までの間に決意され、執筆され、原稿の整理を終わった。」(中略)いずれにせよ、それが一書として公刊せられたのは、その年の十一月であった。


20世紀をむかえてすぐに死んだ、きわめて有名であり、現在まで最も思想や認識を呪縛している哲学者であり、文学者である。今まで読んだ著作者の中で最も文章の上手い人だ。


特に現代思想ではこの本の内容など知らない人がいないくらいで、「ルサンチマン」「良心の疚しさ」などの言葉はほとんどの思想をかじった者の頭を縛りつけているとすら言いたくなる影響を与えている。


この本を貫くどうしようもないほどの高揚感をもたらす文章とその内容は以下のような絶対的な序列と上下の峻別がなければ成り立たない。

あの高貴と距離との感じ、すでに言ったように、上位の支配的種族が下位の種族、すなわち「下層者」に対してもつあの持続的・支配的な全体感情と根本感情―これが「よい―グート」と「わるい―シュレヒト」との対立の起源なのだ。

このような起源をもつ以上、「よい」という言葉は、あの道徳系譜論者たちの迷信のように、「非利己的な」行為と初めから必然に結びついているわけでは断じてない。むしろ、「利己的」・「非利己的」というあの対立全体が人間の良心をますます強く圧しつけるようになるのは、貴族的価値判断の没落によって初めて起こることなのである。

―いくらか公平に見てそれに附け加えるならば、人間の、僧職的人間のこの本質的に危険な生存形式を地盤として、初めて人間一般は一個の興味ある動物となり、ここで初めて人間の魂はより高い意味において深くなり、かつ悪くなった。

あのユダヤ人たちこそは、恐るべき整合性をもって貴族的価値方程式(よい=高貴な=強力な=美しい=幸福な=神に愛せられる)に対する逆倒を敢行し、最も深刻な憎悪の(無力の憎悪の)歯軋りをしながらこの逆倒を固持したのだった。曰く、「惨めなる者のみが善き者である。貧しき者、力なき者、卑しき者のみが善き者である。悩める者、乏しき者、病める者、醜き者こそ唯一の敬虔なる者であり、唯一の神に幸いなる者であって、彼らのためにのみ至福はある。―これに反して汝らは、汝ら高貴にして強大なる者よ、汝らは永劫に悪しき者、残忍なる者、淫逸なる者、飽くことを知らざる者、神を無みする者である。汝らはまた永遠に救われざる者、呪われたる者、罰せられたる者であろう!」と……


貴族的であり、健康である者と、奴隷的であり病気である者との対立。そして後者が歴史的に勝利をおさめ、(ニーチェ的には)悪い意味での革命を起こしてしまった。その勝利の要になったのが「反感―ルサンチマン」や「良心の疚しさ」、「禁欲主義的理想主義」である。

少なくとも確実なことは、≪この標のもとに≫〔コンスタンティヌス大帝の標語〕イスラエルがその復讐とあらゆる価値の転倒とによって、これまで幾たびとなくあらゆる他の理想に対して、あらゆる貴族的理想に対して凱歌を奏してきたという事実である。

―道徳上の奴隷一揆が始まるのは、≪反感≫ルサンティマンそのものが創造的になり、価値を産み出すようになった時である。ここに≪反感≫というのは、本来の≪反動≫レアクション、すなわち行動上のそれが禁じられているので、単に想像上の復讐によってのみその埋め合わせをつけるような徒輩の≪反感≫である。すべての貴族的道徳は勝ち誇った自己肯定から生ずるが、奴隷道徳は「外のもの」、「他のもの」、「自己でないもの」を頭から否定する。そしてこの否定こそ奴隷道徳の創造行為なのだ。

そろそろ結論をつけよう。「よいとわるい」グート・シュレヒト「善と悪」グート・ベーゼという二対の対立した価値は、幾千年の長きにわたる恐るべき戦いを地上において戦ってきた。そして確かに第二の価値が長らく優勢を占めてきているとはいえ、しかも今もってなおその戦いが決着をつけられずに戦い続けられている場所がなくはない。

健忘は一つの力、強い健康の一形式を示すものであるが、(中略)今やそれと反対の能力を、すなわちある場合に健忘を取り外すことを助けるあの記憶という能力を習得した、―ここにある場合とは、約束をしなくてはならない場合のことだ。

再び脱却したくないという能動的な意欲であり、一旦意欲したことをいつまでも継続しようとする意欲であり、本来の意志の記憶である。

一個の約束者として未来としての自己を保証しうるようになるためには、人間は自らまずもって、自己自身の観念に対してもまた算定し得べき、規則的な、必然的なものになることをいかに必要としたか!

これこそは責任の系譜の長い歴史である。

責任という異常な特権についての誇らしい知識、この稀有な自由の知識、この自己と運命とに対する力の意識は、彼の心の最も深い奥底まで沈下して、本能に―支配的な本能になっている。―彼にしてもしそれを表わす言葉が必要になるとすれば、彼はそれを、この支配的本能を何と呼ぶであろうか。疑いもなく、この独裁的人間はそれを彼の良心と呼ぶのだ……

 しかしあのもう一つの「暗い事柄」、すなわち負い目の意識「良心の疚しさ」なるものは、一体いかにして世界に現れたものであるか。

 繰り返して問うが、いかにして苦しみは「負い目」の補償となりうるのであるか。苦しませることが最高度の快感を与えるからであり、被害者が損失ならびに損失に伴う不快を帳消しにするほどの異常な満足感を味わうからである。

残忍なくして祝祭なし。人間の最も古く、かつ最も長い歴史はそう教えている―そして、刑罰にもまたあんなに多くの祝祭的なものが含まれているのだ!――

その反面において、良心の上に「良心の疚しさ」の発明を有する者は一体誰であるか。諸君のすでに察知している通り、それは―≪反感≫をもった人だ!

敵意・残忍、迫害や襲撃や「良心の疚しさ」の起源である。

ここでは内面的に、小規模に、卑小に、後向きに、ゲーテの言葉を借りれば「胸の迷路」のうちで、良心の疚しさを創り出し、消極的な理想を築き上げる。この力こそまさしくあの自由の本能(私の言葉で言えば―力への意志)なのだ。

良心の疚しさのみが、ただ自己虐待の意志のみが、非利己的なものの価値に対して前提の役目を果たすのである、と。

人間意志は一つの目標を必要とする、―そしてそれは欲しないというよりは、まだしも無を欲する。

というのは、禁欲生活とは一つの自己矛盾だからである。すなわち、ここには一つの比類なき≪反感≫が支配している。

ここには力の源泉を塞ぐために力を使用しようとする一つの試みがなされている。ここには嫉妬深い陰険な眼が生理的繁殖そのものに対して、殊にその表現に対して、美しさに対して、悦びに対して向けられている。そしてその一方、奇態や萎縮に対して、苦痛に対して、不幸に対して、醜悪に対して、自発的な損傷に対して、自己棄却・自己懲罰・自己犠牲に対して一種の愉悦が感じられ、かつ求められる。

しかもこの分裂は、こうした苦しみにおいて自己自身を享楽し、のみならず自己自身の前提たる生理的生活力の減衰とともにいよいよ自信をえ、ますます勝ち誇るようになる。「断末魔の苦しみのうちの凱歌」―この最上級の標章のもとに禁欲主義的理想は昔から戦ってきた。誘惑のこの謎のうちに、狂喜と苦悶のこの像のうちに、禁欲主義的理想はその最も明るい光を、その救いを、その最後の勝利を認めた。≪十字架クルクス、胡桃スクス、光ルクス≫―これが禁欲主義的理想においては一つになっている。―


ニーチェが否定するものは現在のほとんどの良識である。対してニーチェが称揚するものは一つの倫理である。そして私はあまり極論になるのはいけないと思いつつも、ニーチェほどの倫理とそれに力を与える文章力=認識を示す力をもたない人間が軽々しくニーチェの言葉を使って何かを裁断する姿を何より醜悪だと思う。

ロック『市民政府論』鵜飼信成訳、岩波文庫


必読書150には入ってないが、ルソーを読むとロックも読みたくなる。ロックを読むとモンテスキューも読みたくなるが、『法の精神』は長いので覚悟がいる。それよりはロックの『市民政府論』は短いので手にとりやすい。


解説からひく。

 ジョン・ロック(John Locke,1632-1704)は、イギリス経験主義哲学の祖として、十八世紀啓蒙主義の出発点に立つ思想家であるが、とくに、その政治思想が、近代的政治原理の基礎を築くために果した役割は、大きい。その政治思想、政治哲学が、まとまった形で展開されているのが、ここに訳出したTwo Treatises of Government,1690.である。(なお訳者の用いた台本の扉にはロンドン、一六八九年印刷とある)。
 この書は、標題の示しているように、二つの論文から成り、それは、著者のいうところによれば、もと一つの大きな論文の、始めと終りとであったという。
 「われらの偉大な再興者、現王ウイリアムの王位を確立すること、彼が、われらの唯一の合法的政府として、キリスト教国のどの君主よりも一層完全かつ明確にもっている権原を、人民の同意によって基礎づけること、そうして、自己の正当かつ自然の権利に対する愛と、これらの権利を守ろうとする決意とが、まさに隷属と滅亡とに瀕していた国を救ったそのイギリスの人民を、世界に向って弁護すること」、すなわちこれである。
 これは、いいかえると、一六八八年のいわゆる名誉革命の、合理的な根拠を提供しよう、ということにほかならない。つまり、すでに行われた行為をジャスティファイしようというのである。ところで右の行為そのものはある程度までは革命的なものであるから、そのような行為がジャスティファイできるものならば、それは、当然、他の国における同じような革命的行為を誘致し、それを弁明するという力をもつであろう。一七七八年、アメリカが、イギリスのきずなを断ち切って、自由と独立を世界に宣言したとき、それを理由づける文書、いわゆる独立宣言の中に、ロックの、とくに本書に現れた思想が、ほとんど文字通りに用いられたのは、当然であった。それは、イギリス革命におくれること、およそ百年であるが、当時の思想化がthe immortal Lockeの名を彼に与えているのも、故なしとしないであろう。

イギリスの17世紀の思想家で、二編の論文からなる書の後者の論文を訳出したのが『市民政府論』のようだ。前者とあわせた完訳版を岩波文庫でださないのはなぜなのだろう(『市民政府論』は初版が1968年)。


この『市民政府論』についてさらに解説からその趣旨や目的を述べている部分を引用。

 ところで、ロックのこの二論の中、前編は、「サー・ロバート・フィルマーと、その追随者たちとの誤った諸原理と根拠とを、見抜いて、これをくつがえした」と自ら呼んでいるものであり、後編は、「市民政府の真の起源、範囲および目的」を論じたものである。
 後編におけるロックの所説は、前にもいったように、一七七六年のアメリカ独立宣言の原理的核心となっている。アメリカの独立宣言が、その独立革命を合理化するために述べている政治原理は、要約すれば、次の三点に帰することができる。その第一は、人はすべて、創造主によって、平等に創られ、それぞれ譲るべからざる権利をもっていること。第二には、政府は、この権利を保障するために、被治者の同意によって設けられたものであること。そうして第三に、その自然の結果として、政府を変更廃止することは、人民の権利であること、これである。
 ロックが、本書の中で述べていることは、右の原理の原型である。それはまず、自然状態から分析を始め、そこではすべてのものは平等であることを明らかにし、そうして万人は平等にして独立であるから、何人も、他人の生命、健康、自由または財産を傷つけるべきではない、というのが、理性の法の命ずるところだとする。ところで人は、自分たちの所有を確実に享有し、他の者からの侵害に対して保障され、安楽安全かつ平和な相互生活をすることができるように、協同体を取結び、政府を作ることに同意するようになる。この場合、すべて人は自由平等独立であるから、何人も自分の同意なしに自然状態を離れて、他人の政治権力に服従させられることはない。そうしてもし立法者が、人民の所有を奪い、それを破壊しようとし、彼らを恣意的権力の下に奴隷状態におとそうと試みる場合には、人民は、もはやそれに服従する義務から免れ、彼らの適当と考える新しい政府を設立するじゆうをもつようになるのである。このようにして、ロックは、革命権、抵抗権の理論に、一般的な基礎づけをしようとしたのである。


自然状態、政府・市民社会、抵抗権や革命権というところが主要な論点のようだ。


ここでいう自然状態はホッブスやそれに影響をうけたルソーのような万民の万民にたいする戦争状態とは真逆といいたくなるような概念としてロックは書いている。

四 政治権力を正しく理解し、またその起源を尋ねるためには、われわれは、すべての人間が天然自然にはどういう状態に置かれているのかを考察しなければならない。そうしてそれは完全に自由な状態であって、そこでは自然法の範囲内で、自らの適当と信ずるところにしたがって、自分の行動を規律し、その財産と一身とを処置することができ、他人の許可も、他人の意志に依存することもいらないのである。
 それはまた平等の状態でもある。そこでは、一切の権力と権限とは相互的であり、何人も他人より以上のものはもたない。同じ種、同じ級の被造物は、生れながら無差別にすべて同じ自然の利益を享受し、同じ能力を用い得るのであるから、もし彼らすべての唯一の主なる神が、なんらかの明瞭な権利をその者に賦与するのでない限り、互いに平等であって、従属や服従があるべきではない、ということは明々白々であるからである。

どちらかというとこうであるべきという状態を自然状態としているようだ。そしてその自然法は現実的にうまく守られないので自分の権利を譲渡することで政府を設立し、それによって安全や権利を保障するという論理構成になる。


その保障の大きなひとつはやはり所有権で、それの根拠は労働にあるとする。

二十七 たとえ地とすべての下級の被造物が万人の共有のものであっても、しかも人は誰でも自分自身の一身については所有権をもっている。これには彼以外の何人も、なんらの権利を有しないものである。彼の身体の労働、彼の手の働きは、まさしく彼のものであるといってよい。そこで彼が生前が備えそこにそれを残しておいたその状態から取り出すものはなんでも、彼が自分の労働を混えたのであり、そうして彼自身のものである何物かをそれに付加えたのであって、このようにしてそれは彼の所有になるのである。それは彼によって自然がそれを置いた共有の状態から取り出されたから、彼のこの労働によって、他の人々の共有の権利を排斥するなにものかがそれに附加されたのである。この労働は、その労働をなしたものの所有であることは疑いをいれないから、彼のみが、己の労働のひとたび加えられたものに対して、権利をもつのである。少くともほかに他人の共有のものとして、十分なだけが、また同じようによいものが、残されているかぎり、そうなのである。


そして解説のいうところの抵抗権や革命権の話になるのだが、目次の「第十五章 父権的、政治的および専制的権力についての総括的考察」「第十六章 征服について」「第十七章 簒奪について」「第十八章 専制について」「第十九章 政府の解体について」をみてもわかるように、政府の望ましくない状態についていろいろと検討したうえで、かなり保守的というか解説でいわれるほど大胆ではなく限定されたものとして提出されている気がする。

二四三 結論はこうである。各個人が社会を取り結んだ時、これに与えた権力は、社会が存続するかぎり決して個々人に復帰することはなく、いつまでも協同体の手に残るであろう。何故なら、これなしには協同体はあり得ず、国家はあり得ず、それは原始の協定に反することになるから。そうして社会が立法権を、どんなものであれ人間の集会に与え、彼らと彼らの後継者が引き続いてそれをもち、また後継者を定めるについての支持とそうして権限とが与えられている場合、立法権は決して、この政府の存続する間は、人民に復帰することはない。何故なら永久に続く権力をもった立法府を設けることによって、人民はその政治権力を立法府に与えてしまったので、それをふたたび取り戻すことはできないのである。


ロックは論理的に定義や趣旨をコンパクトに書いているので、すっきりとした印象である。これと比べるとルソーの独特な文体がよりはっきりわかる。しかし素養のないせいか、わかりやすくコンパクトなのにどうも大半をすべるように見るだけで読めた感じがしなかった。

ルソー『社会契約論』桑原武夫・前川貞次郎訳、岩波文庫

 中高の教科書にでてきてるくらいの印象しかなかったが、最近東浩紀氏が独自の視点で読み直していたりして一部で話題になっている。読んでみると、古典中の古典とあつかわれるのもよくわかる、近代の理念や原理をコンパクトに、表現としても美文というわけではないがとても率直かつ扇動的なまでのエネルギーをもって書かれている。

 解説に「ジャン-ジャック-ルソー(一七一二−一七七八)」とあるように一八世紀のスイスの人である。訳者のまえがきを引用する。

有史以来、人間の精神にもっとも大きな影響をあたえた本として、イギリス労働党の学者キングスレイ・マーチンは、『聖書』、『資本論』、そしてこの『社会契約論』の三つをあげている。民主主義の本質を明らかにした、このルソーの名著は、つとに中江兆民の『民約訳解』によって日本につたえられ、自由民権運動の精神となった。しかし、その後、ルソーの精神は日本で十分に根をはったとはいえない。だから戦後、主権在民という言葉は一とき流行したが、その真意は、覚えぬさきに忘れさられかけている。わたしたちは、もう一度この名著を読みかえして、元気をつける必要があると思う。

「注意を払おうとしない読者にわからせる方法を、わたしは知らないのだ」とルソーもいっている。たとえば、「主権者」(souverain)という言葉は、彼においては、社会契約をむすんで一体となった人民全体のことをさすので、決して一個の人間をさすのではないこと、をつねに頭に入れておかねば、この本はわからない。また「統治者」という言葉にも注意していただきたい。これは《prince》の訳語である。「プランス」というのは、第三編第一章にも定義されており、また『エミール』では、「支配者の全体は、それを構成する人々の面から考察されるとき、統治者プランスとよばれ、また、その行動の面から考察されるとき、政府とよばれる」といっている。つまり、それは国王とか大統領とかいう一個の人間ではなく、集合的にして精神的な人格をさすのである。ただ、ルソーは、このプランスという言葉を、世間普通の、君主という意味に使っているところもあるので、そのさいは「王公」と訳して、「君主」(maonarque)と区別しておいた。《peuple》という言葉は、「人民」「国民」「民族」などと訳せるが、なるたけ統一的に「人民」と訳しておいた。「人民」という言葉は広い意味にとっていただきたい。《magistrat》には前後の関係によって「行政官」と「役人」と二つの訳語を用いてある。索引には原語をつけておいた。


人民主権、自由、平等などの近代民主主義の根本概念を論じ、社会契約や一般意志などの独特の用語で自分の見解をまとめあげたものが、この『社会契約論』のようだ。


ルソーは冒頭からこう宣言する。

政治について筆をとるからには、あなたは君主か、それとも立法者なのか、と聞く人がいるかも知れない。わたしは答えよう。そうではない、また、そうでなければこそ、政治について筆をとるのだ、と。もし、わたしが君主か立法者であったなら、わたしは、なさねばならぬことをしゃべるために時間を空費したりはしないだろう―わたしは、なすべきことを実行するか、それとも沈黙するだろう。
 自由な国家の市民として生まれ、しかも主権者の一員として、わたしの発言が公けの政治に、いかにわずかの力しかもちえないにせよ、投票権をもつということだけで、わたしは政治研究義務を十分課せられるのである。幸いにも、わたしは、もろもろの政府について考えめぐらす度ごとに、自分の研究のうちに、わたしの国の政府を愛する新たな理由を常に見出すのだ。


これはある種のアマチュアであることの宣言としても読める。実際ルソーは職業的な学者というよりは評論家・ジャーナリスト的な知識人という感じがする。そこが文章の表現力にもつながっていると思う。


 最も強いものでも、自分の力を権利に、〔他人の〕服従を義務にかえないかぎり、いつまでも主人でありうるほど強いものでは決してない。ここから最も強いものの権利などというものが出てくる。

暴力は一つの物理的な力である。そのはたらきからどんな道徳的なものが結果しうるか、わたしにはわからない。暴力を屈することはやむえない行為だが、意志による行為ではない。それはせいぜい慎重を期した行為なのだ。いかなる意味でそれが義務でありうるだろうか?

そして、最も強いものがいつでも正しい以上、問題は自分が最も強いものになるようにするだけのことである。ところで、力がなくなればほろんでしまうような権利とは、いったいどんなものだろう?もし力のために服従せねばならぬのなら、義務のために服従する必要はない。またもし、ひとがもはや服従を強制されなくなれば、もはや服従の義務はなくなる。そこで、この権利という言葉が力に附加するものは何ひとつない、ということがわかる。

そこで、力は権利を生みださないこと、また、ひとは正当な権力にしか従う義務がないこと、をみとめよう。だから、いつもわたしの最初の問題にもどることになるのだ。


解説でもいわれているホッブスの影響がたしかにわかる。しかしホッブスよりも簡潔かつ印象深い文体である。


「各構成員の身体と財産を、共同の力のすべてをあげて守り保護するような、結合の一形式を見出すこと。そうしてそれによって各人が、すべての人々と結びつきながら、しかも自分自身にしか服従せず、以前と同じように自由であること。」これこそ根本的な問題であり、社会契約がそれに解決を与える。

 この諸条項は、正しく理解すれば、すべてが次のただ一つの条項に帰着する。すなわち、各構成員をそのすべての権利とともに、共同体の全体にたいして、全面的に譲渡することである。その理由は、第一に、各人は自分をすっかり与えるのだから、すべての人にとって条件は等しい。また、すべての人にとって条件が等しい以上、誰も他人の条件を重くすることに関心をもたないからである。
 その上、この譲渡は留保なしに行われるから、結合は最大限に完全であり、どの構成員も要求するものはもはや何一つない。なぜなら、もしも特定の人々の手に何らかの権利が残るとすれば、彼らと公衆の間にたって裁きをつけうる共通の上位者は誰もいないのだから、各人は、ある点で自分自身の裁判官であって、すぐさま、あらゆることについて裁判官となることを主張するだろう。そうなれば、自然状態が存続するであろうし、また結合は必然的に圧倒的になるか、空虚なものとなるであろう。 
 要するに、各人は自己のすべての人に与えて、しかも誰にも自己を与えない。そして、自分が譲りわたすのと同じ権利を受けとらないような、いかなる構成員も存在しないのだから、人は失うすべてのものと同じ価値のものを手に入れ、また所有しているものを保存するためのより多くの力を手に入れる。
 だから、もし社会契約から、その本質的でないものを取りのぞくと、それは次の言葉に帰着することがわかるだろう。「われわれ各々は、身体とすべての力の共同のものとして一般意志の最高の指導の下におく。そしてわれわれは各構成員を、全体の不可分の一部として、ひとまとめとして受けとるのだ。」
 この結合行為は、直ちに、各契約者の特殊な自己に代って、一つの精神的で集合的な団体をつくり出す。その団体は集会における投票者と同数の構成員からなる。それは、この同じ行為から、その統一、その共同の自我、その生命およびその意志を受けとる。このように、すべての人々の結合によって形成されるこの公的な人格は、かつて都市国家(シテ)という名前をもっていたが、今では共和国(Republique)または政治体(Corp politique)という名前をもっている。それは受動的には、構成員から国家(Etat)とよばれ、能動的には主権者(Souverain)、同種のものと比べるときは国(Puissance)とよばれる。構成員についていれば、集合的には人民(Peuple)という名をもつが、個々には、主権に参加するものとしては市民(Citoyens)、国家の法律に服従するものとしては臣民(Sujets)とよばれる。しかし、これらの用語はしばしば混同され、一方が他方に誤用される。ただ、これらの用語が真に正確な意味で用いられるとき、それらを区別することを知っておけば十分である。

社会契約の内実がこれであり、ここで一般意志という現実性より理念よりな概念をぶちあげるところがルソーのいまだに問題的なところのようだ。こういうところもどこか日本の文脈でいえば批評家的存在に近い感じがする。


 全体意志と一般意志のあいだには、時にはかなり相違があるものである。後者は、共通の利益だけをこころがける。前者は、私の利益をこころがける。それは、特殊意志の総和であるにすぎない。しかし、これらの特殊意志から、相殺しあう過不足をのぞくと*、相違の総和として、一般意志がのこることになる。

* ダルジャンソン候はいう、「各人の利害は、それぞれ相異なる原理をもつ。二つの個別的利害は、第三者の利害との対立によってはじめて合致する」と。彼は、すべての人の利害は、各人の利害と対立することによってはじめて合致する、とつけ加えることもできたであろう。もし利害が異なっていないなら、共通の利害などというものはほとんど感じられないであろう。共通の利害は決して障害にぶっつからず、すべてはおのずから進行し、政治は技術であることをやめるであろう。

 人民が十分に情報をもって審議するとき、もし市民がお互いに意志を少しも伝えあわないなら〔徒党をくむなどのことがなければ〕、わずかの相違がたくさん集まって、つねに一般意志が結果し、その決議はつねによいものであるだろう。

このようなナイーブとすらいわれそうなポジティブな断言と、


そして統治者が市民に向って「お前の死ぬことが国家に役立つのだ」というとき、市民は死なねばならぬ。なぜなら、この条件によってのみ彼は今日まで安全に生きて来たのであり、また彼の生命はたんに自然の恵みだけではもはやなく、国家からの条件つきの贈物なのだから。

そして、罪人を殺すのは、市民としてよりも、むしろ敵としてだ。彼を裁判すること、および判決をくだすことは、彼が社会契約を破ったということ、従って、彼がもはや国家の一員ではないことの証明および宣告なのだ。


この社会契約が成立している以上、統治者の命令によって国家のために市民は死ぬ義務を負うとネガティブなところもはっきり断言するあらゆる領域での切れ味のよさがこの書を古典たらしめているのだと思う。
なかなか政治・経済の分野が義務教育レベルでも苦手なので理解等が難しかったためか、もっぱらその文体や表現力、ある種のハッタリや理想のストレートな表現などの力強さに目がいった。


 

好きなPV・ライブ動画・MAD


 youtubeニコニコ動画でいろいろなポップ・ミュージックにふれられるようになり、これは好きだと思えるものがいくらか見つかった。それらを挙げてみる。


1 ANARCHY「FATE」


日本の近年のPVではずばぬけてこれだと思う。アナーキーという京都のラッパーで地元の団地で自伝的な曲を歌う。日本語字幕をあえてつけていることがいい。スペースシャワーでPVの賞受賞。

「下駄箱に置き去りのハイヒール 写真の中笑顔でハイチーズ」
「家飛び出す前くれたキャンディ やりたくないけどやるよハンデ」
「泣き腫らした目睨む一般家庭 綺麗事並べても結局金」
「晩飯はばーちゃんの生活保護 あの国と比べたら贅沢な方」

などなど胸うたれる。

http://www.youtube.com/watch?v=P4_HwzxnG0I


2 Johnny Cash ジョニー・キャッシュ 「hurt」


ある雑誌でマイケル・ジャクソン「スリラー」をおさえて投票でトップをとった有名なPV。カントリーの大御所ジョニー・キャッシュの晩年のカバーアルバムの中の一曲で、ナインインチネイルズの「ハート」が選ばれ、PVの巨匠マーク・ロマネクによって撮られた。曲がジョニー・キャッシュ自身のメタファーとなることで原曲以上ともいえる出来に。ワインにはたまげた。ニコ動だと和訳つきなのがうれしい。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm270021


3 Pete seeger & Bruce Springsteen ピート・シーガー&ブルース・スプリングスティーン他 「THIS LAND IS YOUR LAND」


http://moritagen.blogspot.com/2009/01/this-land-is-your-land.html

リンク先のブログが詳しい解説と動画をのせてくれているが、オバマ大統領就任式に歌われ、フォークのレジェンド、ピート・シーガーがいまはなき盟友ウディ・ガスリーアメリカの民間からうまれた国歌ともいわれる「ディス・ランド・イズ・ユア・ランド」を子供たちと合唱する。そこでピート・シーガーは、この曲が作られ歌われた当時アメリカ政府に検閲され歌うことを禁止された歌詞を、自ら喋り、皆で歌わせていく。レッド・パージの犠牲者でもある彼らだからこその感慨がある。

「大きく高い壁が私を阻もうとした 書かれたサインには私有地とあった」
「でも、その裏にはなにも書いてなかった そちら側があなたたちと私のものだ」

などの歌詞が、人種差別の蔓延した当時では考えられない大統領の誕生を祝う就任式で、さまざまな肌の子供たちと歌われる光景はいかにもアメリカ的と思いつつも感じ入ってしまう。


4 BON JOVI 「always」


これはMAD動画。ハリー・ポッターのスネイプという登場人物のイメージソングとしてボンジョビの「オールウェイズ」がファンのイラストとともに流れる。

スネイプという登場人物とのシンクロ率がすごかった。ボンジョビに自分が感動する日がくるとは。あらためてベストでもきいてみたくなった。これもニコ動で和訳つき。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm4505329


5 superfly「笑いながら花束を」


こちらもMAD動画。21世紀で唯一毎週リアルタイムで見たアニメ「初恋限定。」のメインカップルのイメージ・ソングとしてsuperfly「笑いながら花束を」を流している。

はじめてこれでsuperflyという人を知った。今度カラオケで歌おう。下に出る歌詞字幕に対するアニメのシーンからの「絵合わせ」がアニメを見たものにとっては非常にうまくてよい。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm8488476

ガープス現代社会リプレイ『高校生活の小さな奇蹟』1話「料理研究会の憂鬱」

これは実際におこなったゲームのセッションの録音を文字起こしし、プレイヤーの人にその時内心どう思っていたかなどを書き加えてもらって、その上でもう一度編集するというかたちで書かれています。記法は以下の通り。カッコのあるなしやカッコの形によって書かれてる言葉の種類がちがいます。

記法

プレイヤーorキャラクターの名前:/(内心の言葉)/プレイヤーの発言/「キャラクターの発言」/〔ゲーム上の判定、その他動作など〕

GM:(ちょっと口説かせようかな)では加藤にこういわせよう「ねえ、ちょっと時間ない?遊ぼうよ」〔プレイヤーに加藤のキャラクター用紙を見せつつうさんくさいナンパ師っぽい動き〕
佐藤:(GMが悪ノリしてるなw)そうだなぁ・・・「ごめん用事があるから」と《言いくるめ》したい。
GM:なるほど。ではこちらの知力と即決勝負で。
佐藤:「今日は塾だから」〔《言いくるめ》技能判定・・・−2成功〕
GM:〔知力判定・・・失敗〕「ちぇ、じゃあしょうがないな」(かわされちゃったな・・・)
佐藤:「バイバイ〜」〔満面の笑みで手をふる〕

  • 0.基本設定説明&キャラクター作成

GMゲームマスター、中の人shfboo):ではこれからガープスのはじめてのセッションをはじめます。
町野:おー〔ぱちぱちと拍手〕



TRPGをはじめてやる町野さんと2人でセッションをしてみた。システムはガープス。舞台は現代の高校だ。



GM:えー、今回やるのは「」ガープス現代社会 舞台1『高校生活の小さな奇蹟』」という・・・。
町野:あはははは〔苦笑い〕
GM:(やっぱり苦笑するよなぁ)今回はですね現実準拠で、しかも普通は100CP(キャラクターポイント)でキャラクターを造形するんですが、これを25CP、つまり一般人レベルでつくります。魔法も超能力も存在しません。
町野:ほぅ
GM:それでまぁ高校生活のよしなしごとのなかで、今ふりかえると色々なタイミングが合ってて、自分がうまくうごけば普通なら起きないようなことが起こせたなみたいなことが一回や二回はあったと思うんです。
町野:(ナイナイ)うん
GM:それでこれからやっていくセッションは、基本的にそんな瞬間に毎回キャラクターがでくわしたら、という想定でやっていくことになります。
町野:ふーん
GM:なので基本は現実準拠なんですが、シナリオのなかでおこる出来事のさまざまな状況がからんで、プレイヤーのキャラクターがそのキーパーソンになるようになっています。その機会をどうプレイヤー/キャラクターが料理するか、というのを楽しむセッションというコンセプトでやっております。

GM:では、町野さんのキャラクターを作っていこうと思います。



古本屋で集めた文庫の『ガープス・ベーシック』をわたして、町野さんに現代高校生のキャラクターを作ってもらう。



町野:じゃあマチで作るよ



マチとは町野さんが某ケータイ小説サイトで書いている小説の主人公である(笑)小説では小学生だったが、高校生に成長したマチの姿をこのセッションで見せてくれるというわけだ。



GM:いいですねー。この高校の舞台も、自分が某2ちゃんねるのエロパロ板「ビッチな娘が一途に」スレで10人位を喜ばせるために書いた物語の舞台を使ってるから(笑)



言い訳だがあくまでエロパロ板の住民さんを喜ばせようとして書いたものである。あえてリンクはしない(笑)



町野:冴島マチっていうんだよ。
GM:かわいい。
町野:マチだから・・・知力は高い、体力はあんまない。走るのは絶対遅くて・・・貧乏(笑)。・・・落語ができる。家事してるから料理得意。
GM:なるほど、そうすると・・・。
町野:《地域知識》とるか。地元の砂町にくわしい。
GM:ということは・・・・・この高校のあるのは砂町になりました(笑)



等々30分位経って・・・・・・。



GM:できましたね。
町野:すごーい。


冴島マチ

16歳 眼鏡おかっぱの地味系少女
体力 9 敏捷力 9 知力 13 生命力 10
特徴:未成年 義務感・友人 貧乏 やせっぽち 意志の強さ
常識
癖:好きにしてくださいよー♪が口癖 ひとりごと ツッコミ気質 おわらいズキ じじむさい
技能:調理17 落語16 地域知識/砂町15 情報分析13 文学14

知力高く、身体能力は弱く、常識をもって友人に義理堅い、ちょっと斜にかまえてツッコミやスルーを駆使するシニカルポップ(笑)な高校生に。調理・落語はプロ並みで、文学も好き。思慮深い情報分析で身の危険を回避できるか!?

  • 1 「諸状況ゲージ」説明

GM:えーこのガープス現代社会では毎回少しずつ独自の追加ルールを導入していこうと思います。今回は「諸状況ゲージ」というものをつかいます。
町野→マチ:ほう



諸状況ゲージ
「高校生活の小さな奇蹟 1話 料理研究会の憂鬱」

時間    0□□□□□□□□8 

状況1  -4□□□□0□□□□+4
状況2  -4□□□□0□□□□+4
状況3  -4□□□□0□□□□+4
状況4  -4□□□□0□□□□+4
予想外   -4□□□□0□□□□+4



GM:とこのような図になっております。一番上が時間でこれは0から8まで8マスです。ある程度マチのいる舞台で時間がたったらこれが1マス黒く埋まります。そして8マス埋まったら終了で、セッションのエンディングにはいります。
マチ:うん。
GM:それで下の状況1、2・・・とあるのが、そのセッションでの主要な状況変化の要因となる項目です。これが+−に4マスずつありまして、時間が1マス埋まるたびに、それまでのキャラクターの行動などによって、どれかのマスが埋まっていくことで全体の状況が少しずつ変化していくことをあらわします。

「バイトの憂鬱」

時間     0■■■■■■■■8 

shfboo忍耐 -4□□■■0□□□□+4
新人認識  -4□□■■0■□□□+4
上司理解  -4□□□□0■□□□+4
同僚共感  -4□□□□0■■■□+4
予想外    -4□□■■0■■□□+4


GM:例えばですね、shfbooが自分のやってるバイトで新人さんとうまくいかなくて困ってる場合を諸状況ゲージであらわすと上のようになるわけです。
マチ:(shfbooの実体験やがな)(笑)
GM:で、まあ時間ゲージも埋まり、説得や上司相談、同僚への根回しなどやって、上のようにゲージが埋まったと。そしたら、ゲージの埋まり具合をみながら、どんな結末になったのかをGMとプレイヤーが相談して解釈していくわけです。
マチ:おー、ちゃんとゲームメイクしてるんだね。
GM:ぶっちゃけ今日のセッションはほとんどアドリブなんですけどね(笑)例えば上のゲージだと、shfboo忍耐はギリギリキレないでいるが限界が近い状況で(−2マス)、新人の認識は自分に若干問題があることにまだ鈍感でありつつも(−1マスなので)かなり気づきつつある(+2マス)。上司共感は理解はしてくれているが積極的には動いてくれなくて(+1マス)、同僚共感は、同僚も手を焼いていて何とかしなきゃと団結していると(+3マス)、で予想外っていうのは、GMの想定していない状況変化の要素のことで、ここでは新人が突然奇声をあげながら走り出す事件があって(笑)これはどっちにころぶかわからない不確定要素となってると(+−共に2マス)。
マチ:(例がヒドイw)ふむふむ。
GM:まあ各ゲージを例えば以上のように解釈しますと、「shfbooが我慢の限界近くになりつつも、同僚の協力により、新人に自分の問題点を認識させ、また新人の奇行にたいして上司から注意をしてもらうことで、一応新人を反省させ行動を改めさせることができた」というエンディングになったりするわけです。
マチ:なるほどー。
GM:もちろんセッション中の判定などでもっとマイナスのマスが埋まってれば、shfbooが孤立してバイトを辞めるというエンディングになるかもしれないと(笑)。基本的に各状況ゲージは3マス埋まると全体の状況が動き出すくらい変化をもたらすと考えてください。

GM:まあ、あとは、やりながら。でははじめましょう!
マチ:おー。〔ぱちぱちぱちと拍手〕

  • 2 セッション開始

GM:時は9月、二学期がはじまりました。某エロパロ小説(笑)では8月で終わっていましたので、その続きになりますね。そこでの登場人物、高梨葉子と松崎啓とマチは同じ学年でちがうクラスです。
マチ:うん。
GM:あなたは宮本まさみと同じクラスです。これも某小説に出てきた人物ですが、ガープスでキャラ設定として「美人」です。
マチ:美人。
GM:高梨葉子よりも一段階上の美人ですね。
マチ:うわー。
GM:で、調理技能を16レベルでもってますね。
マチ:マチのが高いね。
GM:マチのがレベルが高いですね。それで彼女は料理研究部で、グルメオタクの松崎くんを誘って高梨さんに嫉妬されたりしてました(笑)。マチとは親友で、宮本さんの方が調理もうまいあなたをすごく尊敬してくっついてきてる感じですね。それであなたも特徴の「義務感:友人」で憎からず思っていると。
マチ:うん。
GM:ただ彼女は、癖で「天然」で、かつもっている技能が「調理」と「性的魅力」(笑)
マチ:あはは。
GM:そんな宮本がある日のクラスで、あなたの元にやってきます。…彼女はマチをなんて呼んでる?
マチ:んー、「マチ」で。
GM/宮本:「マチー、きいてきいて」
マチ:〔眠そうに〕「なにー?」
GM/宮本:「私、料理研究部じゃない? それで最近ね松崎くんていう隣のクラスの、B組の人いるでしょ? 彼が毎月何万円もつかって色々なお店を食べ歩いてるんだって」
マチ:〔鼻で笑って〕「はっ、ブルジョワめ」(笑)
GM/宮本:(ナイスつっこみ)「それでねー、その人がすごいから、私、松崎君に料理研究部にはいってほしいんだ」
マチ:「ほぅ」
GM/宮本:「それでね、松崎君は高梨さんって彼女もいるんだ」
マチ:「ふむ」
GM/宮本:「それで私、高梨さんも一緒に松崎君と料理研究会にはいってくれたら素敵だなって、お誘いかけてるんだけど…あんまりうまくいかなくて。マチ二人と知り合いでしょ?」えー、マチは二人と実は知り合いです(笑)。一年生のとき同じクラスだったということで。
マチ:あー。
GM:二人とはどんな関係だったかアドリブできめてもらっちゃっていいですか(笑)?
マチ:えー。…高梨さんとは、ノートを貸してあげたことがある。それがけっこう気に入られて、そこそこ仲良くなった。
GM:なるほど、そこそこ仲いい感じですね。松崎くんの方は?
マチ:松崎くんの方は…。
GM:一応彼は「グルメ」とか、マチや宮本とかより低いですが「調理」13レベルとかもってますね。やっぱりブルジョワとして少し嫌ってる(笑)?
マチ:いや、まあ、憎からず遠からず。班の発表のときにグルメネタですこし盛り上がった(笑)
GM:(笑・アドリブうまい。TRPG適性高そうでよかったな)いいですね!
GM/宮本:では話もどして「マチからも二人を料理研究部に誘ってほしいんだ!」
マチ:「なんですとー」(笑)
GM:というわけでですね、ここで宮本まさみさんが、マチに対して「性的魅力」技能で説得をこころみます(笑)
マチ:(笑)
GM:これは普通は異性に対して使うんですが、まあマチは…。
マチ:うん、マチは美人に弱い。
GM/宮本:しかもまあ目をうるうるさせて、「お願い、話をきいてもらうだけでいいから」と。というわけで判定しましょう。
マチ:おぅ。
GM:宮本の「性的魅力」14レベルに、マチが美人に弱いということで、宮本の「美人」修正+2を加えます。それとマチの知力13+「意志の強さ1」の即決勝負で。こっちは〔サイコロをふる〕こっちは10。
マチ:うむ、よくわからんがふってみよう。〔サイコロをふる〕9。
GM:そうすると、マチの知力13+「意志の強さ1レベル」で修正1で14。それと出た目の差は?
マチ:5だね。
GM:はい、これを成功度5といいます。そしてこちらの目は10で、基準が16なので成功度6。
マチ:じゃあ、6対5? 負けたのか〜。
GM:はいあなたはあまりの宮本まさみの愛らしさについいいよと言ってしまいました(笑)
マチ:〔笑いながら〕言っちゃうんだ〜。「う、う、うん…」
GM/宮本:(笑)「ありがとう、マチ! やっぱり親友だよ!」とギューと抱きついてくる感じですね。
マチ:〔ひきつった声で〕ひぃ〜(笑)
GM:はい、これで一つ時間ゲージが進めることにしましょうか。まだ状況ゲージたちに動きはないです。
マチ:ああ、これでワンアクションなんだ。なるほど。



時間    0■□□□□□□□8 

状況1  -4□□□□0□□□□+4
状況2  -4□□□□0□□□□+4
状況3  -4□□□□0□□□□+4
状況4  -4□□□□0□□□□+4
予想外   -4□□□□0□□□□+4



GM:では時間が進んで、昼休みくらいになります。どうされますか?
マチ:〔沈んだ声で〕しかたがないので、隣のクラスに二人をさがしにいくのです(笑)
GM:では、隣のクラスにいく途中に、高梨さんが、ちょっと前よりギャルっぽさがなくなったというか、気負いがなくなった感じで、いそいそと…んー、屋上の方にでも行こうとしています。
マチ:(笑)なぜ屋上。「た、た、た、高梨さぁん」
GM/高梨:「あら、マチじゃん。元気ー? ひさしぶりー。どうしたの?」
マチ:「あの、ちょっと。いや、あの、ちょっと。あの、ちょっと。……ひさしぶり」(笑)
GM:(笑)高梨さんは、なんかお弁当みたいの手にもってますね(とりあえず屋上に松崎くんと待ちあわせということにしておこう)。
マチ:「あ、高梨さん、お弁当なんてもってくるんだ?」
GM/高梨:「うん、うちはそう。それで・・・・・・ちょっとね」みたいな(笑)
マチ:「まさか自分で作ったりしないよね?」
GM/高梨:「自分で作れたらいいんだけどね・・・・・・はぁ」
マチ:「わたし、料理得意だよ?」
GM/高梨:「ああ、マチ家事全部自分でやってるんだよねー」
マチ:〔悪そうな顔で〕「なんせ五歳のときから包丁にぎってますからね」
GM/高梨:(笑、そんな設定だったのか)「啓くんも最近自炊はじめたんだよね」
マチ:啓くん?
GM:はい、ではこのことについてマチが何かしっているか、《地域知識》で判定してください。
マチ:(笑)《地域知識》なんだ。〔サイコロをふる〕8。
GM:マチの《地域知識》は15レベルだから、余裕で成功ですね。ちなみに3、4だとクリティカルで大成功になります。今回レベル15だから10引いて5もクリティカルかな。
マチ:ほお。
GM:では成功したので、あなたはこういう知識を知っています。高梨葉子さんは夏前から、同じクラスの松崎啓くんとつきあうようになりました。
マチ:〔いぶかしげに〕ふぅーん。
GM:しかも、かなりぞっこん仲良くて、今ではなんというかできあがったカップルのひとつとして数えられているほどです。一年のとき同じクラスでそのときの二人を知っているマチからすると、ちょっと驚愕の出来事ですね(笑)そしてそれを驚愕だと考える人間はけっして少なくないことがわかります(爆笑)
GM:さて、その知識があったうえで、あなたはどうしますか?
マチ:むー。
GM/高梨:「それで? マチは何の用?」
マチ:「ちょっと友だちに頼まれたことがあって」
GM/高梨:「友だちが? あたしに?」
マチ:「てゆうか、松崎くんにもなんだけどね」
GM/高梨:「啓くんにも?」ギラーン〔鋭く睨むしぐさで〕
マチ:げげ
GM:デンデンデンデンデンデン・・・〔某サメの映画のテーマを歌い出す〕(笑)えー、《常識》技能でふってみてください。何かあなたにそなわる常識が何か警笛を鳴らすかもしれません(笑)
マチ:〔おびえつつ〕ひぃ、ちょっと口をすべらせただけなのに・・・・・・(笑)〔サイコロをふる〕



出た!



GM:〔爆笑しつつ〕ファンブル〜!ええ、このような17や18の目はですね、大失敗です(笑)
マチ:だいしっぱい〜。しまった。物語に葛藤を早く持ち込もうとしてしまった(笑)
GM:あなたの常識が計算結果をはじきだしました。このまま、宮本まさみが松崎啓に興味をもっていること、料理研究会に入ってほしいこと、高梨もついでに入っていいこと、それらをストレートに伝えればきっといい返事がかえってくるとあなたの脳に語りかけてきます!



言うまでもなく、逆効果である。



マチ:〔苦笑しつつ〕まあ、マチにはそういうところあるからね。「いや、あのね、同じクラスの宮本まさみさんからね、その松崎啓くんと高梨さん両方料理研究会に入らない?っていうよう言われたんだよね」
GM/高梨:〔ひくーい声で〕「・・・・・・へぇー」
マチ:なにか、なにか・・・。
GM:マチの体感皮膚温度が4度下がりました(笑)
マチ:なにかわるいことをいってしまったんだろうか・・・・・・。
GM/高梨:〔感情をこめない声で〕「宮本さん、私も知ってるよ。きれいな人だよね」
マチ:「う、ま、まあね」
GM/高梨:〔棒読みテイストで〕「一応、聞いてみるけど。啓くんはそんなものに興味ないんじゃないかな」
マチ:「そ、そうかな・・・」
GM/高梨:「ていうか、宮本さんもアレだよね。天然ぶりっこていうかさ、マチも言った方がいいんじゃないかな!」
マチ:「ひぃ。いや、そんな、こと、いわれ、ましても」
GM/高梨:「わかった。じゃあね」バッとふりむいて、若干不穏な空気を残しつつ去っていきます(笑)
マチ:なぜ、わたしがこんな目に・・・・・・(笑)

GM:はい、これで時間ゲージ二つ目が埋まりました。そしてなぜか状況4のゲージがマイナス1になります(笑)
マチ:あれー(笑)
GM:いやー、なんででしょうね(笑)
マチ:おもしろいことになってる(笑)
GM:では次の場面へいきましょう。



時間    0■■□□□□□□8 

状況1  -4□□□□0□□□□+4
状況2  -4□□□□0□□□□+4
状況3  -4□□□□0□□□□+4
状況4  -4□□□■0□□□□+4
予想外   -4□□□□0□□□□+4


  • 3 天然とマチ

GM:さて放課後になります。宮本さんが「どうだったー?」と聞いてきますね。
マチ:「なんか誘ってみたんだけどね、どうも入りたくないみたいだよ」
GM/マチ:(誘い方に問題があった気も・笑)「そうなんだ……でももう少し誘ってみる。ありがとねマチ!」
マチ:「うむ」
GM:さて放課後で宮本さんは部活がありますが、誰かと帰ったりする?
マチ:んー、ひとりで帰ります。
GM:(よし、あらかじめシナリオで設定しておいた自動発生イベントを起こそう)はい。さて帰ろうと校庭に出ると、ざわついております。この学校では小学校なんかでよくある動物を飼育している檻があるんですが、そちら側で騒ぎがおこっていますね。
マチ:見る。
GM:ざわざわ。ざわざわ。「逃げたぞ〜!」という叫び声が(笑)
マチ:なにぃ〜(笑)
GM:では「知力−2」で判定を。気づきにくい状況なので難易度あげて−2にします。
マチ:〔判定……成功〕お、気づいた。
GM:「飼ってた豚が逃げたぞー!」という声が(爆笑)そしてどうやらその豚はあなたの方にむかって走ってきてるようです!
マチ:ははは。
GM:ブブブブ、ブブブブー!(笑)どうしますか?
マチ:ひ、人ごみのなかに隠れます。
GM:では敏捷度判定で。マチの敏捷度9なので、3D6で9以下。
マチ:無理そう……(泣)〔判定……成功!〕おっ。
GM:成功しましたね。あなたはうまく人ごみにまぎれ、その横を豚が爆走していきました。「うわぁぁ」とどこからか男子生徒の声が(笑)
マチ:ぜいぜい。
GM:(ここで主要なキャラを出しておこう)あなたが人ごみのなかにまぎれると、ある男の子にぶつかります。知力判定してみて。
マチ:〔判定……成功〕成功。
GM:なんと彼は料理研究会部長の鈴木一郎くんです。えーこの人は若干エキセントリックな性格をしていることで知られています。しかし宮本まさみさんの評価は「えーいい人だよー。すごい親切にしてくれるし」
マチ:〔乾いた声で〕ははは。
GM/鈴木:「ああ、お前はよく宮本といる冴島か」
マチ:「ども」
GM/鈴木:「今日は宮本と一緒じゃないのか?」
マチ:「なんか部活行くって言ってましたけど」
GM/鈴木:「そうか。……じゃ俺もすぐ行かなきゃな」というわけで去っていきます。何かします?
マチ:いや。(こやつとは絡みたくない)
GM:ではこれでまた時間が1マス埋まりまして、状況1が−1になります(別にマチは何もしてないけど、シナリオの都合上ここはマイナスにふっておこう)。



時間    0■■■□□□□□8 

状況1  -4□□□■0□□□□+4
状況2  -4□□□□0□□□□+4
状況3  -4□□□□0□□□□+4
状況4  -4□□□■0□□□□+4
予想外   -4□□□□0□□□□+4



GM:さて次の日の朝です。マチが登校すると料理研究会の部室というか、ミーティングなんかをよくやっている教室で何かざわざわともめている様子で、困った顔の宮本さんの姿も見えますね。
マチ:むぅ。
GM:それでマチが自分の教室に入ってしばらくすると宮本さんも帰ってきて少し落ち込んだ感じでいます。
マチ:ふむ。
GM:それで昼休みになって、えーと、1年の時同じクラスだった(困ったときのこのパターン、使いすぎだな……)、料理研究会の名前もきめられていない男の子(笑)がマチをたずねてきます。
GM/部員:「ちょっといいかな?」
マチ:「ほいほい」
GM/部員:「いやーちょっと相談なんだけどさー。ジュースおごるよ。何がいい?」
マチ:「え……。緑茶」
GM/部員:(笑)「さすが、じじむさいな」
マチ:なぜ高校まできてじじむさいと……。
GM/部員:「お前宮本と仲いいじゃん?」
マチ「はいー」
GM/部員:「ぶっちゃけ今料理研究会のなかでもめててさ。部長の鈴木って知ってる?」
マチ:「一度、あいました」
GM/部員:「あいつはそれなりに優秀なやつなんだけど、けっこう性格に難があるやつで、ちょっとオレオレというかワンマンというか……」
マチ:「ありますよねー」
GM/部員:「で、その鈴木がさー、どうも宮本を好きになったらしく」
マチ:「きゃー」(なんて俗な展開!)
GM/部員:「で、宮本もああいうやつじゃん?」
マチ:〔深くうなずく〕「はい……」
GM/部員:「まあ天然とかいうのか。それで宮本はどうやらきづいてないらしいんだよ」
マチ:「でしょうなぁ……」
GM/部員:「で、鈴木がなんつうかどんどんテンパってきちゃっててー、その挙動が目に余るっていうか副部長がお前いい加減にしろよ的な感じになってきてて」
マチ:(笑)
GM/部員:「喧嘩みたくなってきちゃって」
マチ:「それは……修羅場ですね」
GM/部員:「それでまあこんなこと頼むのもなんなんだけど、もちろん鈴木をなんとかしなきゃいけないんだが、宮本の方もちょっと空気読めよ的なことを(笑)言ってくれないかと……」
マチ:〔ひきつった声で〕「ひぃ〜」(笑)
GM:ははは(笑)
マチ:「が、が、がんばります」
GM/部員:「悪いな、また緑茶おごるから!じゃ」
マチ:「うー緑茶で買収された……みんな貧乏がわるいんだ」(笑)
GM:(割にあってないよなぁ)いやーはじめてなのにロールプレイうまいですよ。さて昼休み続いてますがどうしますか?
マチ:やはり宮本さんにお話しを……。
GM:では宮本さんの居所を見つけるのに知力で判定してください。
マチ:〔判定……成功〕
GM:楽々成功ですな。その日はたまたま売店にいた宮本さんをうまくつかまえました。なんと松崎くんもいます(そろそろ出さないと。高梨パートで会いそこねたからな)何か誘ってます。
マチ:〔苦笑、失笑、やさぐれ〕
GM/宮本:「あれ?マチ?」
GM/松崎:「ああ冴島さん。こんにちわ」みたいな感じで二人との話にはいりました。
マチ:しかしこの場で話すわけにはまいりません(笑)
GM:(笑・たしかにそうだ。じゃあ)宮本さんが「今ねーまた松崎くんを誘ってたんだー、マチはお家の家事があるから入れないけど松崎くんならそんなことないでしょう?一緒に高級レストランとかも行きたいじゃない?」とか言ってますが。
マチ:〔素で〕「好きにしてくださいよー」
GM/松崎:(笑)「いや、僕は、その、レストランに一緒に行く人は、一人だけなんで……」
マチ:ほぅー。
GM:しかし宮本さんの方が全然空気をよまず「みんなで行った方が楽しいよー」と(笑)
マチ:いやいや……。「あの、作るのを覚えると、食べるのも楽しいよー松崎くん」(爆笑)
GM:(笑)結局誘うんかい。
GM/松崎:「あ、僕も少し料理はするんですけど、冴島さんはすごくうまいんですよね?」
マチ:〔半笑いで〕「まあ5歳の頃から包丁握ってますからね」(笑)
GM/松崎:(決まり文句なのね)「それはすごいなあ。どういう料理が好きですか」みたいな話の流れに(笑)
マチ:「まあ和食とか」
GM/松崎:「和食かあ。京都とかにも行きたいんだけど、バイトで月5万とか稼いで4万を食べ歩きに使ってたりする状況じゃ余裕なくて……」
マチ:ごまん……。
GM/松崎:「じゃあ僕はこれで……」と去っていく売店の出口に目をギラつかせた高梨さんの姿が見えたり(笑)
マチ:〔ビビりつつ〕おそろちい……。〔宮本の方をむいて〕「それよりもーまさみさん、大変なことになってますよ」
GM/宮本:「えーなになに?」
マチ:「料理研究会仲が悪くなってるっぽいですよ」
GM/宮本:「えーそんなことないよ、みんないい人たちだよー?」
マチ:「あのね……(笑)……〔考えてる〕あのね(笑)みんないい人たちだって言ってるひとが、まわりを見えてないことだってあるんだよ?」(いい事いうなぁ)
GM/宮本:(いい事言った)「なにーマチなにかしってるのー?」
マチ:「それはちょっとイエナイケド……」(笑)
GM:(笑)えらいなー、部員のことは隠しておいてあげるんですね。では宮本さんがそのことに気づけるか判定しようかと思うんですが、宮本さんは知力9です(笑)あと癖として「鈍感」をもっているので、今のままだと五分五分以下ですね。うーん、何かいい判定方法はあるかなぁ・・・・・・何かマチのもっている技能でうまく応用できるものがあれば、それでマチが判定した成功度の分だけ宮本さんの判定にプラス修正があるということにしましょう。
マチ:んー、この《情報分析》なんてどうかなぁ。
GM:ああ、いいですね。しかしどれくらい情報を宮本さんに伝えるかという。
マチ:誰から頼まれたとかは伏せる。
GM:では、難易度が上がって《情報分析−2》で判定してください。
マチ:11以下で成功・・・・・・〔判定・・・・・・出目5〕いぇい。
GM:おおーすげぇ。11−5で成功度が6ですね。では宮本さんの知力9に6をプラスして15以下。これなら出るだろう・・・・・・〔判定・・・・・・出目14〕おおっ(笑)
マチ:さすが天然(笑)
GM/宮本:あぶねー。でも成功しました。「そうかー、そういえば今日の朝、少し空気が重かったんだよね。なんでだろう、みんななかよくやってたのに……」
マチ:〔ひきつり笑い〕気づいてないぢゃないか……(笑)
GM:はい、これで昼休みがおわって、時間のゲージがまた1マス埋まります。あと状況2がプラスに1マス埋まります。これで半分終わりました。これであと4マス時間ゲージが埋まれば、エンディングに入ります。
マチ:なるほどー。
GM:さて、そろそろ半分すぎたので、マチさん、この状況1から状況4の中で一つ選んで《情報分析》の技能で判定ができます。成功すればマチの中で直観的に感じているものの言語化されなかった今回の問題に関する状況の進展がひとつはっきりわかります。
マチ:なににしよっかなー。
GM:なにか今までの進展で予測のついたものとかありますか?
マチ:状況1は「恋」かな。
GM:なるほどなるほど。
マチ:状況2で。宮本さんに関係ありそうだから。
GM:なるほどでは、《情報分析》13レベルなので、13以下でどうぞ。
マチ:〔判定……成功〕よし。
GM:すばらしい。ではこの「状況2」は「宮本自覚」です。
マチ:(笑)(やっかいな項目だな)
GM:自分の行動やまわりに与える影響についての認識の深まりをプラス、マイナスであらわします。先ほどのマチの活躍でプラス1になってますね。
マチ:よーかったぁ。
GM:ちなみにマイナスになるとどんどん明後日の方向に勘違いしていきます(笑)
マチ:なるほどね。こういう風な項目になってるのね。
GM:はい、そうです。
マチ:じゃあ状況1は鈴木くん絡みみたいだけど、ぜんぜんわかんないな。
GM:はい、それはまた判定できますので。



時間    0■■■■□□□□8 

状況1  -4□□□■0□□□□+4
宮本自覚 -4□□□□0■□□□+4
状況3  -4□□□□0□□□□+4
状況4  -4□□□■0□□□□+4
予想外   -4□□□□0□□□□+4


  • 4 マチ、紛争回避に奔走

GM:はい、では話はすすんでいきます。次の日になったとしましょう。えー、ここでは好きな時間に好きなことをしていいです。ぶっちゃけこちらで用意したイベントはなく、プレイヤーに行動をまかせるところです。
マチ:じゃ昼休みに図書館でも行こうかな。
GM:では図書館にきました。静かなところです。
マチ:じゃ永井荷風でも読んでるよ(笑)
GM:(なぜ荷風・笑、さて何か起こすか)えーマチが荷風を読んでいますと、食文化コーナーにふらっと寄る人影が。松崎くんですね。「あれ?冴島さん。昨日は、どうも」
マチ:「はぁー、松崎くんってやっぱり食にすごい興味があるんだねぇ」
GM/松崎:「そうなんだよねぇ、全然役に立たない、ただ食べるのが好きなだけっていうのがちょっとアレなんだけど」
マチ:「まぁ、それなら料理研究会に入ってくれるとわたしもいろんな意味で助かるんだけどね」
GM/松崎:(切実ですね)「いや、ちょっと、無理かな」と暗い顔で。
マチ:「え、どうして?」
GM:そう聞いたマチですが、えー、ここで、松崎くんは知力12あります。
マチ:はい。
GM:<意志の強さ2レベル>ももっております。つまり容易に自分の本心を明かさなかったりします。
マチ:たしかに。
GM:しかしマチがうまく聞きだせば話すかもしれない、と。マチは知力13で<意志の強さ1レベル>なので、同じ14の基準同士で即決勝負をします。
マチ:うへ。
GM:ではせーの、〔判定……出目12〕成功度2です。
マチ:〔判定……出目7〕成功度7。
GM:ダイス目いいねぇ。マチの圧勝です。
マチ:よっしゃぁ。
GM/松崎:あなたの巧みな聞き上手スキルによって松崎くんが語りだします。「実は昨日……冴島さんと宮本さんと話したあと、(高梨)葉子さんが聞いてて、怒っちゃって」
マチ:ふむ。
GM/松崎:「まあ、その彼氏にまとわりついて許せないとかそういうことを……。それで誤解なんだけど、そういう思いはさせたくないので、料理研究会のことははっきり断ろうと思うんだ」
マチ:「あー、そうですか。……道理で高梨さんの視線が冷たいとオモッタラ……」(笑)
GM:(笑)ここでマチは前の《常識》判定がまちがっていたことに気づきました(状況4は−1だけど、最初セッションだし、これくらいの影響にしておこう)
マチ:ひぃ。
GM/松崎:「もしよければ、宮本さんともこれからあんまり近づいたりしないようにしたいので、そのこと伝えてくれないかな?」
マチ:〔情けない声で〕「はいぃ」
GM:(笑)マチは苦労性ですね。あちこちから頼まれまくってる。
マチ:「これもまさみさんが自覚的に行動しないせいで、わたしはいつも貧乏くじだね。美人の隣ってぇのは、つらいよ」
GM:ははは、いいねえ(すばらしい、アドリブでこの長台詞。某なんとかまるこちゃんの愚痴のようだ)さて、松崎くんと別れます。どうしますか?
マチ:葉子さんの誤解をとくべきか(笑)いやまさみさんにお話を……。
GM:はい。では教室にもどって……「あれーマチどこいってたの?」
マチ:「図書館なんだけどね。……まさみさん」
GM/宮本:「なにー?」
マチ:「松崎くんと高梨さんの関係は知ってるよね?」
GM/宮本:「うんうん、知ってるー。すごく仲良くてうらやましいよね。わたしもあんな風になりたーい」
マチ:〔机につっぷす〕
GM:ははははは!〔大笑い〕
マチ:〔しめつけられるような声で〕すきにぃしてくださいよ〜。
GM:なぜ友達をやっているんでしょう、この二人(笑)(ちょっとやりすぎたかな。すいません町野さん・笑)
マチ:はうぅ、はうぅ(笑)マチ、撃沈(笑)
GM:マチは撃沈しました(笑)
マチ:〔気をとりなおして〕「そのことなんだけどさ、高梨さんがまさみさんに嫉妬してるらしいよ?」
GM/宮本:「えっ!なんで?」
マチ:「まさみさんはね、自分が美人だということを考えた方がいいですよ」
GM/宮本:「わたしぜんぜんかわいくないよ。マチの方がかわいいじゃん」
マチ:〔ニヒルな顔で〕「……レベルがちがうんです」(笑)
GM/宮本:「そんなことないよー」みたいな。
マチ:ぴゅー。〔滂沱の涙〕
GM:(笑)
マチ:固い、固い、この壁は固い。(ゼッタイGMの天然美人女子へのルサンチマンのせいだ!)
GM:ははは。何か技能で説得に使えるようなものはありますかね?
マチ:んー、使ってないところで、《落語》?
GM:なるほど、その話芸で意志の疎通をはかると(笑)では、《落語》で判定して成功度をおしえてください。
マチ:〔判定……出目11〕11。
GM:《落語》のレベルは?
マチ:16。
GM:では成功度は5ですね。すばらしい成功具合です。あなたはうまい挿話をつかって、宮本さんが高梨さんを嫉妬させたりすることがあることを伝えました。
GM/宮本:「そっかぁ。マチが言うならそうなのかもね。気をつけるね」
マチ:〔しみじみと〕よかったねぇ。
GM:そうですね。はい、ではまた時間が1マス埋まりまして、「宮本自覚」がもう1マス埋まりプラス2になります。ではまた《情報分析》で状況のどれかを明らかにできますよ。
マチ:鈴木絡みそうな「状況1」にしよう。〔判定……成功〕
GM:失敗してなくね。えー、「状況1」はですね、「鈴木自重」です(爆笑)
マチ:あははは。
GM:えー、プラスだと自重し、マイナスだと暴走しはじめます(笑)
マチ:ぷぎゃー。すごい。なるほどね。



時間    0■■■■■□□□8 

状況1  -4□□□■0□□□□+4
宮本自覚 -4□□□□0■■□□+4
状況3  -4□□□□0□□□□+4
状況4  -4□□□■0□□□□+4
予想外   -4□□□□0□□□□+4



GM:さて、その日の放課後です。あなたが帰ろうとしていると、前からとある女性が肩をいからせて、どうもあなたの教室の中の後ろにいる友達めがけてずんずん歩いてきているようです(笑)
GM/高梨:「あ、マチ。宮本さんいる?」でんでんでーんでででーんでででーん〔某ダース・○ェーダーのテーマをうたう〕
マチ:「い、い、い、いるけど、ど、ど、ど、どうしまし」
GM/高梨:「いや、ちょっと、料理研究会のこととかについて話があってさ」
マチ:「で、でもねー、葉子さんのことも誘ってるんだよ?」
GM/高梨:「……マチさー、正直どう思う?宮本さんの一連の行為?」
マチ:「あの人はねー、人が思ってる以上に天然なんだよ。だから悪気はないんだよ?」
GM/高梨:「天然なんか、いるのかな?」(笑)
マチ:ひょ〜(笑)お代官様〜。
GM:(この台詞なんか言うと気持ちいいな。会心の一言!)あなたは「義務感/友人」をもってます。ここで会わせると喧嘩になると、あなたの「常識」もいっています。なるべくなら未然にふせぎたいところ(笑)
マチ:「ちょっと話があるから教室の外、いいかな?」
GM/高梨:「なに?」と連れ出されます。
マチ:「さっきね、説得したんだよ。まさみさんを」
GM/高梨:「どんなふうに?」
マチ:「落語を使って」(笑)
GM/高梨:(笑)まあかくかくしかじかで。「じゃあ宮本さんはもう啓くんと関わらないの?」
マチ:「たぶんそうだと思うけど。でもそれとは別に松崎くんのこと狙ってるわけじゃないから、本当にただ二人と仲良くしたくて、料理研究会に入ってほしいと言ってるだけなんだよ」
GM:(あくまで友人フォロー立派だ)そうかなぁ、と一応高梨さんは不承不承ながら去っていきました。
マチ:なんか気苦労が多いなぁ(笑)
GM:はい、これで時間1マス埋まり、状況4がプラスに1マス埋まります。《情報分析》どうぞ。
マチ:「状況4」は明らかに葉子さんのご機嫌だから(笑)「状況3」を〔判定……成功〕
GM:はい。「状況3」は「料理研究会結束」です。
マチ:なるほどー。
GM:えー、アドリブ八割でやっているせいで、ここでシナリオの矛盾というか、今まで全然料理研究会とからめてないという……(笑)
マチ:(笑)たぶん、次くらいに出てくるだろう(笑)
GM:(やさしいフォロー、いいプレイヤーだ)はい。そうします(笑)



時間    0■■■■■■□□8 

鈴木自重 -4□□□■0□□□□+4
宮本自覚 -4□□□□0■■□□+4
研究会結束-4□□□□0□□□□+4
状況4  -4□□□■0■□□□+4
予想外   -4□□□□0□□□□+4


  • 5 俺様君VSマチ

GM:さあ、次の日朝。前にマチに頼んできた料理研究会の部員−実は副部長でした−がやってきます(爆笑)

マチ:「副部長だったようだ」
GM/副部長:「いやああ、冴島ありがとう!宮本がさー、なんか外部の人間誘ってて、それで鈴木がすげーピリピリしてたんだけどさ、一応それを宮本がやめてくれたみたいでさ、だいぶ安定したよ。よかった、よかった」
マチ:「おっ」
GM/副部長:「宮本もなんか安定したみたいだから、よかったよ。とはいえ……じつは明後日、放課後の部会で俺と別のもう一人の副部長が鈴木を弾劾するかもっていう話になってて(笑)場合によっては宮本も微妙かもって感じなんだよなぁ」
マチ:「ふぃー」(糾弾会ってヤメテー)
GM/副部長:「今のままならまだなんとかなりそうだから、これ以上鈴木が狂わなきゃいいけど……」とぼやきつつ、副部長は去っていきます。
マチ:難儀なものよのー。
GM:はい、これで7つ目の時間のマスも埋まります。それで「研究会結束」がプラスマイナスともに1マス埋まります。少し不安定な状態ですね。《情報分析》で「状況4」を判定どうぞ。
マチ:〔判定……成功〕
GM:はい「状況4」は「葉子自制」でした(笑)まあこれは読まれてましたね。



時間    0■■■■■■■□8 

鈴木自重 -4□□□■0□□□□+4
宮本自覚 -4□□□□0■■□□+4
研究会結束-4□□□■0■□□□+4
葉子自制 -4□□□■0■□□□+4
予想外   -4□□□□0□□□□+4



GM:では最後のシーンになります。これが終わったらエンディングに入りましょう。
マチ:おー。
GM:料理研究会の部会の前日の日。昼休み。宮本まさみが「ちょっと調べものがあるから、料理研究会のつかってる教室行ってくる」といって調理室にいっています。そこであなたが図書館かどこかに行こうかと思って歩いていると、歩いてくる鈴木一郎氏の姿。それでぶつかります。
マチ:またぶつかってしまった(笑)
GM/鈴木:(ワンパターンですいません……)「なんだ冴島か」そこで知力判定を。
マチ:〔判定……成功〕
GM:鈴木くんはどうも右手にかわいらしい下駄箱にでも放りこまれそうな封筒をもっています(笑)
マチ:(苦笑)むー、それはスルーするべきなのかな。(絡みたくない)
GM/鈴木:「み、宮本どこにいるか知らないか?」
マチ:知ってるけど、いえないような、いってしまいたいような、そんな気持ちでいっぱいです(笑)
GM:ははは(誰にしゃべっているんだ・笑)どうしますか?
マチ:どうしようかな……。敏捷力で判定してみようかな(笑)(鈴木から逃げたい)
GM:(爆笑)なにするの!?
マチ:いや、教える。「調理室にいますよ」
GM/鈴木:「そうか。ところで冴島って松崎ってやつと親しいんだよな?」
マチ:「同じクラスだっただけで、同じ班になったことがあるくらいで」
GM/鈴木:「なんかそいつが最近宮本のまわりをうろちょろしてるらしっくて、うざいんだよな」
マチ:「そ、それは、おおいなる誤解だとおもいますよ」
GM/鈴木:(鈴木をやるときはなるべくウザいやつっぽく!)「そうなの?なんなの?知ってるの?教えろよ」
マチ:「いや松崎くんが料理くわしいから料理研究会にはいったらってまさみさんと話してたんだよね」
GM/鈴木:(ここで設定していた口癖を披露できる!)「は〜ん、ふ〜ん」(笑)
マチ:あぶない、アブナイ(笑)
GM/鈴木:「宮本って松崎が好きなの?」
マチ:〔鼻で笑って〕「まさか」
GM/鈴木:「ていうか宮本って誰か好きなやついるのかな?例えば同じ部活にとかさ」若干期待をこめた目で言ってきますが(笑)
マチ:「残念ながらわたしはそういう話はしないだよね」
GM/鈴木:(賢くスルー)「そうか」といって鈴木くんは調理室の方へ歩いていきますね。マチはどうしますか?調理室見ます?スルーします?
マチ:〔仕方なさそうに〕一応、みにいきます(笑)
GM:(笑・強引な誘導で申し訳ない)半開きドアから調理室のなかで鈴木くんが宮本さんに封筒をわたそうとし、いまひとつ話がかみあってないさまが見えます(笑)やがて鈴木くんが逆ギレ的に「ていうか俺らもうつきあうだろ!?」みたいに迫り、宮本さんが「ええ!? こ、困る」みたいなことになっておりますが(笑)
GM/鈴木:「いや困るって、だって俺ら一回買い物いったりとかさ、これはもうつきあうってことだろ!?」宮本の肩をおさえて叫んでますが、どうしましょう。
マチ:どどどどどど(笑)入っていきます。
GM:二人びっくりしてふりむきます。鈴木くんが「なんだ!?冴島なんだよ」と宮本さんは「マチ〜」って走ってきます。



マチ:「てやんでい!!!」





!?



GM:(!?)
マチ:「人に気持ちをおしつけんじゃねい!」
GM:(ナイス啖呵!)おおお、きましたね。
GM/鈴木:では(笑)キャラクター設定として「かんしゃく持ち」「嫉妬」「狭量」の特徴がある、鈴木くんがマチの啖呵にキレないか判定します。知力は12あるんですが、特徴のせいで−2されて出目が10以下だと暴れだします。
マチ:おぅ。
GM:〔判定…成功〕あら、10以下でちゃった。
マチ:おーちょっとあばれてほしかったが(笑)
GM/鈴木:顔を真っ赤にして「なんだよ!なんなんだよ!俺と宮本の問題だからほっとけよ!」みたいな。
マチ:「まさみさんは、わたしの、お、お、おとももも、だち」(爆笑)
GM:(言いよどんでる!)はははは!
マチ:「ま、まさみさんをかけて」(俗な流れで停滞気味のシナリオを動かさねばっっ!)
GM:(かけて?)



マチ:「料理対決だー!!!」(爆笑)





どーん!!!???



GM:(爆笑)な、なんだってー!?

  • [今回のシナリオにおいてのGMの思惑]

今回のシナリオはいわゆる天然で自分を客観的に把握してない美人と高慢非常識な男の子二人の齟齬を、プレイヤーの対話・説得・行動などでコミュニケーションの歯車をかみあわせ、二人とも自分のことをより認識し、プレイヤーキャラクターに感謝する、というような大まかな道筋を念頭においていた(高梨・松崎はその本流にからんだり、かき乱したり、うまくやれば助けになる脇役的位置づけ)。

 つまり、このガープス現代社会というコンセプト自体がそうなように、リアリズム的なというか現実に比較的ありそうなひとつひとつのコミュニケーションの積み立てで事態を変えていくという地味渋な展開でやっていたので、マチの提案する料理勝負というリアリズムというよりはコメディや劇画的な発想にGMは驚いたわけだ。しかしリアリズム的なコミュニケーションも予想以上にマチはよくやっていたし、最初のセッションはプレイヤーの発案はなるべく活かしたいと考えていた。そしてマチのいう料理勝負は物語的にも面白いと考え、GMはここからやや劇画的に話を転がそうと決意する。



GM:「はあぁ〜!?」みたいな反応ですね(笑)ではそれで相手を説得できたかどうかを判定してみます……。
マチ:はい。
GM:知力判定の即決勝負でいいかな。
マチ:〔判定…クリティカル!〕
GM:おお、クリティカルだ。決まってしまいました。おそるべきマチの話芸によって料理対決によって雌雄を決することにあいなりました!
GM/鈴木:「わかった。じゃあ料理対決しようじゃないか。じゃあ宮本と、もう一人公平のため審査員をお前が連れてこい。今日の放課後に勝負だ!その代わり料理の品目は俺が決めていいな」
マチ:〔不敵に笑って〕「かまいませんよ」(笑)
GM:では誰か審査員をもう一人連れてこないといけません。
マチ:ここは……副部長を探すか。
GM:(ああ副部長の方か。グルメオタクだから松崎をいれるかと思ってやや不自然ながらマチに審査員を選ばしたのだが、たしかにそっちの方が自然だ)なるほど。
マチ:これで料理研究会の結束が高まれば……。(シナリオを本流に戻さねば)
GM:(なるほど。あまりふれられなかった料理研究会の結束にもからむからか)ええ、副部長はすぐつかまり「ええ、そんなことになってたのか。わかった行くよ」と(笑)なんともう一人の鈴木くんを弾劾するかもしれない副部長(以下副部長2)も連れてきました。「まったくこんなことをまたしでかしたのか。まあいい、それを見て明日の部会でどうするか決めるよ」と。
マチ:おおぅ。(突然の料理対決は無理があったか?)
GM:(ご都合だが、まあよし!)そして放課後になりました。鈴木がマチの連れてきた副部長’sを見て「何だお前らかよ」と言ってさっそく副部長2と喧嘩になりそうになってます(笑)しかし副部長2が「俺が嘘がつけない人間なのは知ってるだろう」という今できたばかりの設定を口にし(笑)鈴木も「まあ、そうだな」と納得します。
マチ:はぁはぁ。
GM/鈴木:「料理は三品目。チャーハン、天ぷら、スープの3つだ!」



今思うとかなり悪い食い合わせな気がする。なぜ前菜・主菜・食後とか、具体的な料理にしてもましな組み合わせにできなかったのだろう……。



GM/宮本:「ごめんねマチ、まきこんで。どうしてこんなことになっちゃったんだろう……」
マチ:「そのことは気にしないでください。これはわたくしの問題でございます」(笑)
GM:かっこいー。
マチ:「わたくしにまかせておいてください」
GM/副部長:〔こっそりと〕「冴島、お前こんなことしてどうするつもりなんだ?」
マチ:「……これはわたくしの意地の問題です!」(笑)
GM:ははは。わかりました。ではこれで時間を全部埋めちゃいましょう。次の料理勝負がクライマックスということで。えーと、「予想外」にプラス3マスくらいいれちゃおうかな(笑)あと副部長に話を通したので「研究会結束」にプラス1マス、「宮本自覚」にもプラス1マス、かなり認識が深まりちょっとなぜこうなってしまったのかと暗くもなってますね。「鈴木自重」はプラス1とともにマイナス2かな(笑)
マチ:でしょうね(笑)



時間    0■■■■■■■■8 

鈴木自重 -4□■■■0■□□□+4
宮本自覚 -4□□□□0■■■□+4
研究会結束-4□□□■0■■□□+4
葉子自制 -4□□□■0■□□□+4
予想外   -4□□□□0■■■□+4


  • 6 料理対決!

GM:ではクライマックスにはいります。当初はクライマックスは部会の予定でしたが、マチの行動により予想外ゲージが3つ埋まってますため(笑)、料理対決になります。先ほど「チャーハン、スープ、天ぷら」という三品目での勝負としたので、三回即決勝負をして勝敗をきめたいとおもいます。
マチ:なるほど。
GM:3回機械的にふるのもいいんだけど……〔考える〕ちょっと今とっさに考えたものなんだけど、それぞれの品目に「得意・ふつう・苦手」をわりふってください。
マチ:どゆこと?
GM:「このチャーハン、スープ、天ぷら」に、よく考えると食いあわせ悪いな(笑)、どれが得意でどれが普通でどれが苦手がこちらにいわないで決めてください。
マチ:〔見えないように紙に書く〕
GM:得意な料理には≪調理≫の技能判定に+2、苦手な料理には−2、普通の料理は±0になります。こちらの鈴木くんは≪調理≫13で、あなたは≪調理≫16だからかなり差があるんだけど、この得意・普通・苦手の配分によっては少しちがいが出るかもしれない、と。(鈴木はスープ:苦手、天ぷら:普通、チャーハン:得意にしよう)



マチの方がかなり強いので、少し補正になるかもしれないルールをとっさに作ってみた。鈴木がマチに対して、得意(13+2)VS普通(16)、普通(13)VS苦手(16−2)、苦手(13−2)VS得意(16+2)という形で組めれば勝率は上がるというもくろみ。逆にマチは得意なものに得意を、苦手なものに苦手をと同じものを組めば技能差の勝率がそのまま得られる。



GM/鈴木:「では、用意はいいか?はじめはスープ勝負だ!」
マチ:「おー」
GM/鈴木:「俺の方はな、見ろ!松茸スープだ!」(松茸とかこのキャラはこうだろという自分の想像力の陳腐ささにへこむ……)豪華な食材で勝負みたいな感じみたいですね。ではそれに対するマチの品目は?どうぞアドリブで考えていただけたら。
マチ:「ブロッコリーのミルクスープ」(ちなみにプレイヤーの日ごろの昼ごはん)
GM:いいですねー。料理対決中に調理や料理にかこつけてなんか決め台詞とかいれてしめてくれたりすると判定にボーナスとか話がまとめられてGMうれしいとかありますよ(笑)
マチ:(笑)なぬー。(無茶ぶり・・・・・・)
GM:こちらはスープ:苦手でした。マチは?
マチ:普通。
GM:(苦手VS普通か。11VS16、うまくないな)はい。では判定しましょう。〔判定……出目8〕成功度3です。
マチ:えい〔判定……出目7〕成功度9。
GM:マチの圧倒的勝利です。副部長いわく「鈴木の方は松茸という豪華な食材をまったくスープの具として活かせていない」、宮本さんは「松茸スープの方は豪華だけど、マチのブロッコリーのミルクスープはすごく下ごしらえが丁寧でおいしい」と。
マチ:〔にくらしい顔で〕「なんせ、ゆでたブロッコリーとごはんをまぜてにっこにっこにっこにっこよくつぶしてますからね」
GM:(そうなのか。にっこにっこで擬音はなんだ)すばらしい。鈴木くんも「こ、この調和は……」とか(笑)マチ、なんかないっすかね?このスープをもって相手の心を変える言葉など(笑)
マチ:ん〜?「見栄だけじゃだめってことですよ」(こんなもんでいいのか?)
GM/鈴木:「くそ、次の勝負は天ぷらだ」
マチ:テンペーラ〜。これは苦手。
GM:こちらは普通ですね。これは勝ち目あるか。では判定〔判定……出目8〕成功度5です。
マチ:〔判定……出目12〕成功度2。
GM:おっこっちが勝った。
マチ:やっぱり天ぷらは苦手だからな〜。
GM:あ、なんの天ぷらか忘れてた。
マチ:ししとうの天ぷら(笑)
GM:(笑)二人の審査員「ししとうの天ぷらだけじゃものたりない」(笑)
マチ:「うちは貧乏だから……」(笑)
GM:鈴木くんはなんとアイスクリームの天ぷら!ここでデザートかって感じですが(笑)宮本さん「あまーい、おいしい」、副部長「やっぱりこいつは実力はあるんだよな……」さあ一勝一敗最後はチャーハンだ。
マチ:ちゃらーん〔効果音をやってくれている〕
GM/鈴木:「こっちはな、蟹チャーハンだ!」
マチ:「わたしは、グリーンピースのあんかけチャーハンです」
GM:これは両方とも得意な料理ですね。では判定!〔判定……出目11〕成功度4。
マチ:〔判定……12〕えっと、成功度6!
GM/副部長:「うむ、蟹チャーハンもうまい。しかしこのグリーンピースのあんかけチャーハンの熱さの鮮烈さ……!」
GM/宮本:えーと、なんかそれっぽいこといわなきゃ、あの、いきなり美○しんぼ的展開で恐縮ですが宮本さん「たしかにこの蟹チャーハンもおいしい。でも鈴木くんの料理はすべて豪華な食材とほかのものの調和がとれていない、みんな一人よがりだわ!」(爆笑)
GM/鈴木:〔ショックをうけたしぐさで〕「な、なんだってー。な、なぜ俺は負けたんだ……」
マチ:「貧乏でもね、材料を工夫すれば調和というものができるんです。料理というものは、和なんです。だから料理研究会のみんなもね、和をもって尊しとなすだよ?」(名言だね。本来の意味と違うけどいいやね!)
GM:(すばらしい!)よくぞこんな無茶ぶりにしめの台詞くれました!これによって「宮本自覚が+1で4に、料理研究会の結束も+1で3に、鈴木くん自重も+2で3になりました。すばらしい成果です!
マチ:おー。(良かった、まとまった)



時間    0■■■■■■■■8 

鈴木自重 -4□■■■0■■■□+4
宮本自覚 -4□□□□0■■■■+4
研究会結束-4□□□■0■■■□+4
葉子自制 -4□□□■0■□□□+4
予想外   -4□□□□0■■■□+4



GM:エピローグにこのままはいります。自覚4になった宮本さんが鈴木くんに「ごめんなさい、あなたの気持ちにはこたえられない。いままで鈍感で無神経でごめんなさい」的なことをいいます。鈴木くんは−3なんで負けたショックやふられた恥ずかしさで不安定なものの、+3でもあるので「いや、俺も勝手で悪かった」と宮本さんや料理研究会の副部長にあやまります。それに対して研究会結束は+3なので副部長が「いや、今の料理対決でもわかったけど、お前は実力あるから……」とうまくまとまりそうな感じに!
マチ:おおー。
GM/宮本:「ありがとね、マチ」とガバっとだきついてきます。
マチ:「ふっ」(笑)
GM/副部長:そして料理研究会の人からも感謝の言葉をつたえられます。「冴島、本当にありがとう。料理研究会からのお礼として2リットルペットボトルのお茶3本と(笑)今日の料理研究会で使った食材ののこりをお前に!」(笑)
マチ:え、松茸と蟹と……。
GM:あと大量のハーゲンダッツアイスクリームが(笑)
マチ:「こんな高級なアイスたべたことない……」(笑)
GM/副部長:「ぜひもらってくれ!ありがとう!お前を料理研究会の名誉会員にするよ」ワーとまわり(笑)
マチ:〔苦笑〕
GM:えーこのマチさんの七転八倒、不幸にまきこまれながら、見事料理研究会の内紛をおさめ、宮本まさみはかなりまわりへの影響を自覚し、鈴木くんは自重するようになり、料理研究会の人からマチは一目おかれリスペクトされるようになりました。
マチ:わっしょーい。
GM:ちなみに「葉子自制」−2になってしまったので、機嫌をそこねた高梨さんをもてなすべく松崎くんはかなり頭と財布をつかっておいしい店をさがすのに奔走したというオチをつけて(笑)セッションおわります。おつかれさまでしたー!〔拍手〕
マチ:おつかれさまでしたー〔拍手〕

プレイヤーとしての理想のプレイスタイルについて


22日にTRPGセッションがあり、自分も参加させていただけることになっている。しかしスランプだ。

そこで自分のTRPGについてのフォーカスをあわせなおすべくガープス現代社会というオリジナルルール(といえる代物ではないが)でやったセッションのリプレイを書いていて、ようやく録音の文字起こしが終り、今プレイヤーに送って内心の書き加えや訂正をしてもらっている。近々アップしたい。

その辺りも一段落ついたので自分がプレイヤーとしてめざしたい理想的なプレイスタイルについて、今度のセッションの自キャラと今までやったキャラに軽くふれて理想と現実の差を確認しながら(笑)書いてみたい。

個人的にめざすプレイヤーとしてのスタイルを箇条書き的に書く。


1 ルーザーしかキャラクターとしてつくらない


自分のつくるキャラクターはすべて何らかの意味で通俗的な世間から見たら敗者あるいは嫌悪される存在である。社会の下層階層の身分であるとか、破滅したもの、普通に生きることが困難な問題をかかえている、悪名高くたたかれているもの等々。

なぜそういうキャラでないとやる気が出ないのかは実はよくわからないが(自己の投影だからというわかりたくない説もあるw実人生は全然大成功する気まんまんなのだが)、単純に物語一般に底辺のものがいくつかの試練を経て頂上になりあがるというパターンがひとつあるというのがひとつ。また後述する自分がTRPGでなければできない物語のつむぎ方や演出をするうえで必要不可欠な前提条件であるからでもある。


2 自分の社会との軋轢からくる偏りを、社会が正しく自分が幼稚という形でなく成長する/成熟している姿を演じる。


自キャラは皆何らかの形でノーマルではなく、そのことにコンプレックスをもっている/かつてもっていた。しかしそれを自分に完全に原因をもとめるのでもなく、まわりを完全に否定するのでもなく自分がまわりに対して違和感をもちノーマルでなくなったことを十分に成熟し社会化してなお肯定する生き方を見いだす/すでに見いだしてそういう生き方を体現しているという姿をロールプレイしたいと考えている。

これはちまたの成長物語あるいはビルドゥングスロマンスの大半が、克服すべき幼稚として描いているもの(色々ある)に、もっと価値がありそれを肯定したまま成長し生きることは可能であると考えるがゆえである。なるべくその成長の過程や、すでに成長した姿を見せるのにセッション中のGMや他のプレイヤーキャラクターとのやりとりやからみを通していくのが理想的。


3 シナリオの主流の物語にはよき脇役としてふるまい、シナリオの傍流の存在にあえて光をあて2の生き方を体現する物語を創造する


「創造する」には「むりやりでっちあげる」というルビがつく。

例えばダブルクロスアライブ2巻のエピソードが自分にとってはワーストにはいる嫌いなものなのだが、そこでGMがまともな分別や感情をなくして普通の学生としてふるまいつつ同級生を殺しながら主人公のプレイヤーキャラクターには自分と同じような孤独をわかちあえる怪物化してほしいともとめるNPCが出てくる。

結局このNPCを倒し、なぜか主人公の夢の中でそのNPCNPCを思う幽霊みたいな女の子が解放してくれてありがとう的なことをいって、その夢をプレイヤーキャラクター皆がきいてよかったよかっためでたしめでたしみたいな感じになるという話だったのだが、私は殺された同級生のフォローなし?と感じてしまった。

もし自分がそのセッションにいたら、なぜか夢でハッピーエンドになりました的な雰囲気になってるNPCに殺された家族がなぜ死んだのか真の理由も知らされぬまま折り合いをつけられないさまを思いだしつつ、めでたしめでたしとなっている仲間に違和感をもって出ていくみたいなエンディングを演出したいと思ったりした。

まあこれがきくたけのような「うわーだめだー」騎士団とかならパロディなのは明白なのでそういう違和感は感じない。しかしなんでもない日常のなんでもない人とのつながりこそが一番大事でそれを守るために戦うという設定のダブルクロスで、セッションにおいて重要でないからといって同級生でセッション中のからみもあった普通の人が無残に殺されたあとフォローなく、加害者がなんとなくハッピーエンド的な終りでめでたしとなるのは、ダブルクロスのもつ物語の主要キャラ以外はそれをひきたてる道具でしかないという今も多い慣習にたいする批評性が台無しになるんじゃないかと考えたわけだ。

まあそういう過大かつ思い込みがすぎるかもしれない期待を勝手にしてしまうくらいダブルクロスというゲームやリプレイが高いクオリティがもっているということが前提だが。
 
話がそれまくった。ようするに、自キャラではセッションの物語において主流となるものには他のキャラをひきたて、自分もいいところを見せつつ、その物語のなかで傍流で普通はひろわれもしない部分にあえて価値をみいだしたり、主流の物語だけではない他の物語を見いだして(捏造して)いくことで、2のマイナーでアウトサイダーな生き方の視点から当てられる光や見いだせる物語をつくってセッションの物語を重層的にしたいということだ。


4 セッション中の細部に意図せずして生まれる共通性や法則、イメージなどを解釈=創造して、そのような解釈でしか生まれない意外な展開を導く。


これは一回もできたことがないし、上記1〜3を少しでもやろうとするのでまったく余裕がなくやろうとしたことさえないのだが、例えば戦闘のとき皆の演出がたまたま雷や火球を落とす、針の雨を降らすなどだったとき、それらに「上から下に動くエネルギー」という法則を見いだし、それをむりからセッションの設定にむすびつけて解釈することで(「この戦闘の舞台である火山口に皆のはずれた攻撃が何度も当たることで、噴火がおきそうだ!」)、誰も予想せず意図しない展開を導くようなことができたら、それはTRPGでなければ困難で、即興で各自の想像力をつかって遊ぶフィクション世界だからこそできる解釈のマジックだなーとか思ったりする。

むろんそれは他の参加者に面白いとい思われるような鮮やかなものでなければいけないし、ひとりよがりに主張するのは単に迷惑だが、時にはそういうことが可能だったりしないかとかつい思ったりする。なんの論理的な関係も、必要もないのに、なぜかそう解釈すると多くの人に面白いと思わせてしまう、そういう読解というものがフィクションなどの解釈にはあり、そういうものはTRPGでこそ鮮やかにできるのではと思っていたりするからだ。これは文学批評のテーマ批評などから得ている考えなのはわかるひとには見え見えで(例えばある作家や、ある同時代の作品を「水」というテーマで横断的に読み解いていくなど)、そういうのが好きなのである。

以上1〜4をTRPGの大前提である「参加者皆が楽しむ」ことができるようひとりよがりでない形で実現できるのが自分にとっての理想的なプレイヤーとしてのスタイルになる。



今までやったキャラでは(かなたさんのサイト「蒼天堂」でいくつかリプレイが読めたりする)


アゼリア・・・クール女性キャラで人づきあいを避けるみたいななんてことないキャラ。錬金術と神官だったので杖の先にくくった唐辛子のつまった袋でバシバシ叩いて治す(スパイスが錬金術チックなつもり)演出が少しウケた。しかしGMの出した敵も錬金術亜人間的だったためノリでかつての仲間でお互い想いあってた男が不慮の死をとげ、そのことでこちらは自閉的に、敵は道をふみはずし魔物化というストーリーをアドリブででっちあげられて楽しかった。


髪川毛織・・・異様に長く天パな髪が寄生生物でいわゆるイッちゃってる系の女性。黒い服でギョロ目、偏屈だが王子様がくるのを待つ二十代後半。その電波キャラをどんどんひどいかたちでインフレさせ演出していくとわりとまわりの反応がよいので、ばんばんやった。いまだに自分の理想とはちがい、私がやるキャラは電波系というイメージをまわりはもっているのではないかと想像するが(笑)、その路線はここからはじまった。他のプレイヤーキャラクターに天使がいたので、その人を勝手に私のキューピットと思い込んでまとわりつくロールプレイが楽しかった。


キムラ・オールズ・・・数学者で自分の発見した数式のパターンを音階化すると神曲という魔法的な力をもった音楽になることに気づき、神曲楽士になるという設定。ポリフォニカという音楽をあつかう世界のキャラで、たまたまフェルマーの定理の本を読んで盛り上がっていたので、無理やりその二つをくっつけてつくった。本当はパートナーで急逝した天才の数学者にたいする畏敬と自分が主要な役割をはたした定理が悲劇の天才の名でばかり有名なことに対する不満あたりを演じたかったがTRPGでやってどうするというもので当然できなかった(笑)最後、機械的でなくはじめて心のともなった音楽を奏でるという演出にしたがじつはこういう心エンドはあまり好きではない(笑)、しかしセッション的にはあれでよかったと思う。GMがシナリオに組み込んでくれて意外&光栄。


鈴日宗男・・・かつて組織のトップクラスにいたが汚職で日陰になったウィザード。下層労働者には本当に優しく待遇改善に尽力するが、権力闘争と利権は黒い。これはなぜか一番ウケた気がする。なぜだろう、とあるモデル(訴えられないか心配)の人気のせいだろうか。なぜか最後にダークサイド落ちで次のシナリオの敵になってしまった。声マネというか発声のダミ声はセッションでもおもいきりできてすっきりする(笑)


MC BOO・・・自分はロック・ミュージシャンでもあるので(笑)セッションを一つのテレビドラマにみたてその主題歌を作るみたいなことはずっとやってみたかったし、実際少しやっている。TRPGとミュージシャンは絶対相性よくここをガチで掘れば新しい地平がひらけると思っているのでやりたい。そこでラッパーヘタレチンピラ精霊という設定で、そのセッションにあったことをおりこんだラップの歌詞を実際にオンラインセッションでのせるという行動にでてみた。個人的には他のプレイヤーキャラクターとのかけあいがうまくいって一番まわりともかみあい、かつ歌詞掲載というまさに一人よがりではないかという実験もできて大満足。代表曲は「冤罪手鏡」(笑)カラオケで実際に歌うこともできる(笑)


カシマ・ジャガー・・・神曲公社の監査であり自らも神曲事務所をかまえる中年男性。保守派であり、無能で数だけ多いと若い改革派からいわれる世代の仕事や立場を守るためにダーティなことをになっているが、自らは利権に手を染めないため改革派にはやっかいな堅物である。自らは「改革はそれによってデメリットよりメリットがはるかに大きいと高い蓋然性をもち、またその変化によって切り捨てられるものへの十分な生活保障と職などの移行へのセーフティネットが完備しないかぎり賛成しない」という方針をとり、凡庸で変化によって転落する人たちの生活を彼なりの哲学で守るという立場をとっている設定。このキャラでやった失敗でいまだに続くスランプにはいった。キャラとして大好きだし、自分の夢想するダーティな保守の必要性や価値というものも反映できたのだが、最後他のプレイヤーと十分に意図あわせをせずに暴走し被害を出した精霊をひそかに助け契約して一緒にやっていくことへの倫理的責任と、ある種の勝手さを背負うことを要求するみたいなことをしてうまくいかなかった。このロールプレイ自体はポリフォニカの小説などでも書かれるテーマなのでやる意味はあったとは思うが、他のプレイヤーの意向をちゃんと聞かないで押してしまったことに後悔。


アイシャ・・・狼人間であることをすて耳を切り落とし人間世界で女優として栄華をきわめたが不倫相手とのたわむれを自ら撮影していた写真が流出すべてを失い失踪したところ、耳や尻尾がかつての美しい金色でなくドス黒い色ではえてきたというキャラ。好きなキャラなのだが、敵としてでてきた鈴日宗男の前には存在感がなかった。自分の好きなキャラ性を押しすぎるのは一人よがりにすぎるかなぁと悩む。なんか女性化した三国志関羽の名前がアイシャらしく二度へこむ。だけどこういうキャラが2でいうような成長をどうやってできるのか何とかいつかやってみたくはある。


まりもママ・・・・・・22日セッションで使うキャラだ。脂肪として寄生している魔物をまとう高身長超体重の大仁○厚女性版みたいなキャラ。七色の体液をもつ脂肪のミノムシ魔物をちぎっては赤い血で爆発燃焼、青い血で凍結、黄色い血でスパイシーなど、七色の体液で身体をびしゃびしゃにしながら、バスケットボール大の脂肪魔物のボール(巨大な血管が網の目に浮き出ている)を投げつけ、180cm180kgの巨体と咆哮で戦う。しかし普段は古典読書を趣味としオペラ歌手でもある、ハローワークと自主的に再就職支援や孤児の育成をするNGOのリーダーでもある教養人、というだいぶ前から考えていた自分の好きなタイプの究極的なキャラなのだが、スランプということもあり名前をむりやりコミカルにしたり、一回セッションしているがまったく教養人プレイなどしてなかったり、なかなか迷走しているキャラ。正直どう転がしていいかいまひとつわからない。