2007-01-01から1年間の記事一覧

レオナルド・ダ・ヴィンチ『レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯』杉浦明平訳

岩波文庫で上下巻あり、上が人生論、文学、絵画論、下が科学についてや書簡などをおさめている。 上巻はともかく、下巻の300頁ほどを占める科学についてのところはほとんど読めなかった。頁をめくって見るだけという感じで、もう少し理科を勉強しておけば…

荻上チキ『ウェブ炎上』

著者からいただいた。あとがきにも謝辞をもらい、最近はそれに足るようなこともしてなくて申し訳ないかぎり。せめて真面目に書評をしてみる。 著者はこの本の狙いを以下の三点だという。 「インターネットのある世界」は、技術や慣習、価値観、ことば、思想…

ウラジーミル・プロップ『昔話の形態学』北岡誠司・福田美智代訳

魔法昔話がすべて限られたプロットによって構成されていることを明らかにした古典である。今回時間がなくてちゃんと読めなかったためメモとして書く。 著者は昔話や物語を研究する際にまず「昔話」とは何かを把握しないで個別研究にむかうのは不毛だという。…

浅沼圭司『ゼロからの美学』

大学の時の先生で、凄い先生だという評判も聞いていた。しかし授業はとらず卒業してしまい、今ごろふとこの本を見つけ読んでみた。 学部生向けの美学の入門的な授業をもとに書かれたもので、とても平易に美学について解説されている。美学については特に音楽…

聖アウグスティヌス『告白』服部英次郎訳、岩波文庫

上下巻である。どちらも300ページ位ある。そして情けないことだが、アウグスティヌスについてほとんど知らなかった。表紙に「ローマ時代末期の最大の神学者・思想家アウグスティヌス」とあるので神学者なのかと思ったしだいである。 しかし読み終わってみ…

プラトン『饗宴』久保勉訳

正直つかみどころがないというのが最初の印象だった。なので訳者の序説を引き写しつつ検討してみた。 まず第一に、この対話篇―これがプラトンの真作であることについては誰も疑いを抱いた者はない―が書かれた年代については、本篇中の一個所(193a)から推定し…

アリストテレース『詩学』(松本仁助・岡道男訳)

要するに、『必読書150』(柄谷行人など『批評空間』という雑誌で活躍した批評家達や、彼らが在籍していた近畿大学の文学部の同僚である文学者・造形作家などが集まって作った主に人文科学・文学のブックリスト)である。人文科学書50の最初が『饗宴』…

岡田暁生『西洋音楽史』

宮崎哲哉や稲葉振一郎など人文学的な論者からの高い評価が目立っていた本で、中公新書ということで手軽ということもあって読んでみた。 至高である(感化されやすすぎな馬鹿であるともいう)。 著者は西洋音楽史を書くにあたっての基本方針を以下のように述…

いじめと現代社会BLOG開設

最近社会学者の内藤朝雄氏が双風舎から『いじめと現代社会』という本を出した。それにともなって成城トランスカレッジのchiki氏が「いじめと現代社会BLOG」というキャンペーンブログをはじめた。内藤朝雄氏は素晴らしい学者として私も尊敬しており、その著書…

仲正昌樹『松本清張の現実(リアル)と虚構(フィクション) あなたは清張の意図にどこまで気づいているか』

久しぶりに文学の研究書を読んだ。研究書とは言っても一般の読書人が楽しんで読める啓蒙的な本でもある。またビジネス社からの出版で定価952円は安い。お買い得であると思う。 思想史においてオーソドックス(変な奇をてらわない)かつ本格的な(最も重要…

『時をかける少女』を見て

私信でちらっと『時をかける少女』見た感想を書いた。一応アップ。見てない方には意味がわからない説明不足なものだが、主人公の女の子が火をだしかけた家庭科の授業での失敗を避けるべく、時をさかのぼって高瀬君という男の子に自分のポジションを代わって…